主人公、鳴海千尋を主な語り部として始まるこの物語は
最初こそ、ごく普通の学園ドラマに見えますが
出てくる登場人物はどいつもこいつもクセ者揃い。
しかも物語は「常識など知らんわ」と言わんばかりの
奇想天外さを秘めていて終盤では意外な事実が
どんどん飛び出してきて最後まで飽きさせません。
さらに、物語上、重要な位置づけにある格闘ゲームの
「Medium of Darkness」は、なんと作者様の前作小説が
モチーフとなっており、そちらの登場人物が
今度はゲームの世界で大活躍することになります。
中には強敵設定ながらも原作ではあっさりと
退場してしまったキャラクターもいて
その鬱憤晴らしとばかりに大暴れ。
もちろん、今作だけでもじゅうぶんに楽しめますが
合わせて読めば面白さが倍増すること請け合いです!
小説なのだから、「すべては作者の掌の上」なのは当たり前なのだけれどw
本作は、女子校に通う少女たちが、「天文部」を隠れ蓑に「eスポーツ部」を立ち上げようと奮闘する物語。
彼女たちがやりこむゲームは、「メディウム・オブ・ダークネス(MOD)」。
MODは、今どき懐かしの二次元格闘ゲームで、ライトノベル『セカイが壊れるオトがする-Medium of Darkness-』が原作の格闘ゲームだ。
ラノベ『セカコワ』は、1000年後の未来世界が舞台のダークファンタジー小説で、書籍化、アニメ化がされている人気小説。
MODは、その登場キャラクターたちを格闘ゲームにしたゲームタイトルである。
そして、『セカコワ』の作者は、うお座の運命に忠実な男! って、おい!?
という訳で、世界は、二重の意味で、作者の掌の上なのである!
物語は、ぬくぬくと、天文部の生徒たちのおしゃべりとゲームでつづられる。
彼女たちは、もちろん、とびきりの美少女ぞろい。
かわいいイラスト付き。
とはいえ、主人公の入部と仲間たちとの出会いがあり、ライバルとの戦いがあり、世界大会あり、顧問の先生の恋愛ありの、イベントたっぷりの物語として構成されていて、作者の作劇が巧み。
キャラクターたちも、ルックスだけでなく、しっかりとキャラが立っている。
要するに、面白い!
さあ! あなたはどちらから読む?
『聖少女暴君』?
『セカイが壊れるオトがする』?
カクヨムコン10参加作品。
聖少女暴君最後まで拝読させて頂きました。
聖少女とさえ噂されるほどの容姿端麗な姫川天音さん率いる天文部は実は隠れ蓑!?というところから始まり、「天文部」として活動する裏でやっていることは実は別のこと。そこで炸裂する暴君っぷりと豊かな個性は見る者を楽しませてくれます。
他の登場人物たちもなかなか個性的な子ばかりで、彼女たちの会話に青春や高校生らしさ、時にくすっと笑えるシーンなどもあり、楽しく読み進められます。
また最後まで読み進めていくと、色んな所にちりばめられた伏線回収や、最後の展開に驚きもあり、最後まで楽しませていただきました。ありがとうございました。
廃部寸前の天文部がeスポーツ部へ転身しようとする設定の大胆さにまず驚きました!学園生活の定番要素に「eスポーツ」という現代的テーマを融合させた点が斬新で、さらに登場キャラクターたちの個性が光ります。完璧を装う「聖少女」姫川天音が見せる自由奔放な一面や、内気ながらもゲーム好きな鳴海千尋の成長が微笑ましく、彼女たちのやり取りには青春の香りが漂います。
また、厳しい現実を前にしてもユーモアを忘れない描写が、物語に爽やかさと深みを加えています。笑いながらも胸が熱くなる瞬間を幾度となく味わうこと間違いなしです。廃部を巡るドラマとeスポーツへの挑戦が、友情や夢の実現という普遍的テーマにどう結びつくのか、続きが待ち遠しい作品です。