死者の魂と干渉が出来るアメリー。
とある事がきっかけで、五番目の妃の侍女から、六番目の妃に選ばれてしまう。
だのに、何故か妃に選んだ筈の国王からは竪琴を弾くようにと部屋に呼ばれるだけ。
だったのだが――
少々特殊な能力を持つアメリーは、後継者となる女の子を産む使命がある。のだが、これがとても初心。まあ、使命だからといってそう容易にいくはずもない。国王は国王で恋愛下手で――もう二人して焦らすんだから!
アメリーに死者が見える能力があるから、背後では死んだアメリーの母がせっつく姿があるのだが、あまりにじれっじれの二人に私も混ざって「今だ!」とでも言ってしまいそう。
筆者様もコメディ寄りの恋愛と仰られている通り、楽しんで読めること間違いなし。
更には、国王には悪霊に関わる事件もあったりと。
二人のじれじれを是非是非お楽しみいただきたい。
オススメです。
『竪琴の継承者 ~第六妃は国王陛下の子守唄係でいたい~』は、まるで深夜の温室に咲き誇る月光花のような独特の甘い香りを放ちます。
竪琴の調べで死者の声をすくい上げるアメリーの姿は、見えない糸で宵闇の記憶を編み上げる孤高の織姫のようだ。国王ジェラルドが抱える母の無念、後宮を彩る華麗な毒花たち、そして宿命の呪いが紡ぐ旋律は、透明な水面に滴る一滴の血、あるいは銀色の蜘蛛が囁く秘密のように、読む者の心を奇妙にとらえて離さない。
愛と癒やしの調べは、冷え切った王の魂を優しく包み込み、読者の脳裏には妄想の苗がそっと根を下ろす。誰もが満ち足りた眠りを求めつつ、不穏な影が揺れる後宮で、竪琴が奏でる奇妙で神秘的な子守唄は、読む者の心を小さな迷宮へと誘い続けることでしょう。