概要
赦せなくとも、築ける関係性もある。
母親と大喧嘩をし、家を飛び出した葵(あおい)。
両親と疎遠になって十五年経った。
ある日、伯母からのメールが届く。母の具合が悪い、と。
このままずっと絶縁状態でも構わないと思っていた葵だが、「いつか後悔しないために」母と会い、過去と向き合おうとする。しかし母は認知症を患っていて、娘との関係性が悪かったすら覚えていなかった――。
両親と疎遠になって十五年経った。
ある日、伯母からのメールが届く。母の具合が悪い、と。
このままずっと絶縁状態でも構わないと思っていた葵だが、「いつか後悔しないために」母と会い、過去と向き合おうとする。しかし母は認知症を患っていて、娘との関係性が悪かったすら覚えていなかった――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!冷雨が、心にぬくもりを注ぐ
生きとし生けるもの誰もを風化させていく、残酷なときの流れ。それが生み出す忘却は救いなのか、幸せなのか。それとも、過去に生き続ける者たちへの餞別なのか。簡単に答えを出すことのできない、そんな現実ならではの葛藤を描いたのが本作の特徴です。実話なのではと思ってしまう毒々しい物語に、共感せざるを得ないほどに暗澹とした苦悩。それらが紡ぎ出す「人間」の像には慄くばかりでした。
そして、それを支える研ぎ澄まされた地の文も魅力的。ときに鋭利に、ときに柔和に綴られる文章は、作品に込められた想いを惜しみなく表現していたように思います。特に心情描写は巧みで、それだけでも一見の価値があるかと。読み手だけでなく、書…続きを読む