知らないうちに義妹を口説いていた俺、ついに「末永くお願いします」と言われる

つい先日まで赤の他人が、ある日突然、家族となる。
創作では別段珍しくない。珍しくないが、この手の場合、互いに距離感というのは微妙なもの。
馬が合えば良しだし、なんやかんやで自然と距離が縮まるのも良し。
かといえば、この作品の場合、たった一つのメールで、じれったさを発動させる。
家族とは何か、兄とは妹とは。実のきょうだい家族でも仲の良い悪いは出るもの。
なんであるべきか、ではなく、どうあるべきか、互いを想いながら模索しながら初々しくも進んでいく。
大抵のラブコメはドシドシ押す展開が多いのだけど、この作品は控えめながらも進んでいく展開が程よい塩梅を出してくる。
ゆっくりゆったりと歩くような速さで。

父の再婚でクラスメイトの七瀬クロエが義妹になった、という所までは義妹モノとしてオーソドックスな流れなのだが、その時クロエへ「俺と一緒に幸せになろう」という誤解を受けかねないメールを送ってしまったが為に、クロエに異性として意識されてしまう、という所がこの作品のキモ。

あくまで兄として振る舞う雅紀と、恋心まで育ち切っていない状態でどう接したら良いかわからないクロエという、どちらもグイグイ行かない状態ながら、控え目に育まれていくお互いの恋心、というのが初々しくて良き。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（94文字）