概要
愛と友情の物語です。
戦地が描かれるのは四章からとなります。
・全体を二部構成として捉えています。
第一部:一章~三章まで、ミズーリ編
第二部:四章以降 、ベトナム編~現在
・第一部では、とうもろこし農家で日々鬱屈した日常をすごすベンの、ハンナとの出会いにおける心の変化を追い、第二部では戦地に身を置く中で、守るべきものを失っていくことに対するベンの
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!圧倒的な質感。無料で読むのが申し訳なく感じてしまう。
60年代当時のアメリカの生活なんて、一度も体験したことがないのに、懐かしさすら感じてしまうほどの圧倒的な質感があった。
虹乃ノランさんの作品は、その作中世界の住人から見えるなんでもない日常をすごく美しく描いていて、一文一文に魅了される。
主人公が見て、感じたこと、その細部の描写が丁寧で、とんでもなく感情移入してしまった。
全ての描写が見事の一言なんですが、そんな中でも戦場の描写は一体どこからそんな知識を得たのかと怖くなるほど。でも、参考文献を見て納得。質の高い作品は、作者の感性や文章力に加えて、知識も間違いなく必要なんだと改めて実感した。
温かい日常と戦地の落差や主人公の苦悩。決…続きを読む - ★★★ Excellent!!!真実のアメリカ、絶望と希望の物語をカクヨムで読めることに驚愕
まず初めに、ベトナム戦争のワードで苦手意識を持たないで欲しいです。この物語は単なる反戦やカウンターカルチャーではなく、自分がすべてを失ったと感じた時に、最後は何によって救済されるかを示唆してくれます。そして救いとは、自分を悼み、励まし、今を強く生きること。自分はそのように感じましたが、読む方それぞれが自分の救いについて考えていただければそれで良いのかと。
また描写自体も秀逸で、どうして60年代のアメリカの空気をここまで描けるの? と唸りました。トウモロコシ畑、サニー・デイヴィス・Jr.、レイ・チャールズ……そして伝統的な田舎と反発する若者という構図は、幾多のアメリカン・ポップスが取り上げてき…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それは過去に起こったのかもしれない当時のお話
舞台は1960年代のある国で起きたこと。
トウモロコシ農家の息子のベンは、田舎町に引っ越してきたハンナとの出会います。友人とも言えるグレッグはハンナを気に掛けるベンに背中を押したりして、彼女と彼の交流のきっかけを作ったりします。
彼ら三人の穏やかな日々は続く──わけではなく、1960年代の当時はある戦争が起きており、ベンたちはその戦争に巻き込まれていきます。またハンナも彼らに隠し事を抱えていました。
その当時をあらわす雰囲気と描写は文章で読んでいても伝わるもの。
読んでいて切なく、そして戦争を引き起こしてはいけないと改めてわかります。
物語だとしても、この話の中には彼らの生きた証がありま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どちらも同じ現実――――
静かな田舎町で繰り返される単調な日常。
その単調さの中に現れた風は、心を震わせ春風を運んできた。
想いを揺さぶられ、新しい自分を発見し、寄り添う心を育ててくれた。
しかし、生死をかけた激動の日々がやってくる。
単調だった暮らしが一変する。
彼女の元へ、友と共に必ず生きて帰る。
壊されていく精神を抱え、それだけを頼りにただ生き抜くことの苦しさ。
どちらも同じ現実なのに、人の作り出したものとは思えない落差が今もどこかで起こっている。
独り残された彼に唯一あるものは、彼女が教えてくれた絵を描くということ。
生き続けなければいけない彼は、生涯をかけて彼女と共に描き続けるのだろう。 - ★★★ Excellent!!!フォンダンショコラのような、繊細で濃厚な物語
戦争描写のある物語です。幸せなことに戦争というものから距離を置いて暮らすことができており、それゆえ私にとってはリアルなイメージを抱きにくい題材でした。しかし、調べ上げ、丁寧かつ繊細に描かれたこの物語からは、リアルなその場を想像でき、読み進めるほどにゾクゾクとしました。スクロールする指がプルプルと震えました。一気読みしたいと思いつつ、濃厚な文字の連なりに圧倒され、休憩を挟みながらの読破となりました。質感の異なる二部が、絶妙な加減で絡み合うさまは、まるでフォンダンショコラのよう。ぜひ多くの方にこの物語を味わい、そしてこの衝撃の後味を感じてほしいです!
- ★★★ Excellent!!!まるで読む洋画。力強い愛と友情と光と人生、生き方。そしてベトナム戦争
このような小説をWebで、しかも無料で読めることに驚きました。
舞台は1960年代。保守的な町の農家に生まれたベンは、安穏で退屈な日々を送っていた。そこにやって来たハンナとの出会いが、彼の停滞に変化をもたらす。
読み始めてすぐに洋画、文学、といった印象を抱きました。
舞台が海外であり、それを感じさせる皮肉やユーモアに富んだ言い回しがされているというのもありますが、何よりも、この作品には実在感があります。実在する土地や歴史で、登場人物たちは確かに生きて、その時を過ごした。そんな実感があります。
色彩感に溢れた第一部も映像として読めたのですが、特に第二部の戦争の場面では鮮明な映像が見えました…続きを読む