まるで読む洋画。力強い愛と友情と光と人生、生き方。そしてベトナム戦争

このような小説をWebで、しかも無料で読めることに驚きました。

舞台は1960年代。保守的な町の農家に生まれたベンは、安穏で退屈な日々を送っていた。そこにやって来たハンナとの出会いが、彼の停滞に変化をもたらす。

読み始めてすぐに洋画、文学、といった印象を抱きました。
舞台が海外であり、それを感じさせる皮肉やユーモアに富んだ言い回しがされているというのもありますが、何よりも、この作品には実在感があります。実在する土地や歴史で、登場人物たちは確かに生きて、その時を過ごした。そんな実感があります。
色彩感に溢れた第一部も映像として読めたのですが、特に第二部の戦争の場面では鮮明な映像が見えました。そこに違和感なく、息をするように入り込めたのは、作者様が作品と事実に真剣に向き合い、必要なものを考え抜き、選び抜いたからであると感じました。

必要なことは作品の中に全て描かれています。私がここにこれ以上書くのは野暮でしょう。
ミズーリ、ベトナムと舞台が変わり、時が流れても、作品には一貫した軸が通っています。
ぜひ、多くの方にじっくり読んでいただきたいです。胸に強く残るもののある作品です。

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