概要
長きに渡り平和だった集落は、祭りのさなか黒い小蛇の群れに襲われてしまう。
迫りくる災いを背に、ラケはディヤを抱えてひた走る。すんでのところで災いを振り切るも、目の前には蛇神と名乗る、異形の男が立ちふさがっていた。
――人と神が織りなす、誇り高き天険の地の物語。
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【毎週火曜日、21時過ぎに更新予定】
キービジュアル
https://kakuyomu.jp/users/willerik0213/news/16817330653840230601
舞台はヒマラヤ山脈ですが、とある日本神話をベースにしております。
※レイティングを設定するほどでは
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!少女神と守り役の少年が命を懸けて走り抜ける、織りつづく恩寵の地
自主企画に参加していただき、こちらの作品を知りました。
中央アジアを彷彿とさせる文化と人々の暮らしの描写が魅力的ですぐに好きになりました。
神とされる謎の少女とその移動手段である〝神の御脚〟の少年が大昔の因縁と約束を果たす物語。様々な取り違えや誤解を紐解き、苦難に遭ってもそれぞれがそれぞれの使命をまっとうしようと誠実に努力する様子が丹念に描かれます。まさに作中にある織絵巻【タペストリー】が織り上げられていくように登場人物たちは生き生きと行動し、難題に立ち向かいます。
作者様の想像を掻き立てる素敵なイラストもあいまってとても楽しく、ときにはしんみりと読ませていただきました。
※※※以…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神と人をつなぐ物語
現人神の少女とその御脚である少年の物語。
災いの蛇神を祀る山岳の集落イェンダ。そこには現人神がいる。
彼女は話すことも地に足をつけることもない。
現人神の移動を行うのは神の御脚である少年の役目だった。
祭りの日、蛇の群れに襲われた集落から、現人神を守るため山を駆ける少年。
そこで少年は蛇神と出会う。蛇神とは、現人神とは何者であるのか。
厳しい土地の文化や民俗、息づく精神が生々しい熱を持って語られます。
邪は消えないが善いものもまたあり、災いは人々の力で乗り越えていける。
神は見守り生きる力は受け継がれていくという力強いエネルギーがありました。
さて、タイトルの恩寵が何かと最後にわかりますが、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「天険のまほろば」に住まう人と神の物語
章タイトルの「天険のまほろば」が良く似合う美しい物語です。
ヒロインの少女(現人神)は地面に足を付けることも喋ることもができない。マジで⁉ そんなのムリ……と思わせる設定が秀逸です。「脚」となる主人公は常に少女を抱えていなければならない。その困難さが、物語を盛り上げるわけですね。素晴らしいアイデアだと思います。自分には思いつけない……。
「篤き恩寵のイェンダ」というタイトルも、その意味が回収されるラストも見事です。
一番好きなシーンは、祭りの日にラケとスニルが踊る場面です。神秘的ないでたちと躍動感。その場で見てきたような臨場感。たぶん本当に見てきたのでしょう、第三の眼で。 - ★★★ Excellent!!!民俗、神秘、冒険活劇。神話を感じるアジアンファンタジー
山岳集落イェンダ。蛇神の災いと共存してきたそこでは、少女が現人神として祀られていた。祭りの日、集落は蛇の群れに襲われる。《神の御脚》である主人公ラケは現人神を抱え、その足代わりとなって駆ける。
どことなく児童文学の雰囲気を感じるこちらの作品には、その土地に根付く文化や精神が、とても生き生きと描かれています。どういった経緯で人がそこに住み、その暮らしの中でどんな生業や風習、民族性が育まれていったのか。それらには自然な必然性のあったことがひしひしと感じられ、人々の逞しさ、生きることの尊さといったものが伝わってきました。
ストーリー、作中で語られるイェンダの精神、そしてどこか人間臭さを感じる神々…続きを読む - ★★★ Excellent!!!神話や民族学が好きな方、絶対刺さります
すごい作品です。これぞ青少年が読むべき一般文芸のファンタジー。なぜ図書館に置かれていないの?
他の作家様のお名前を出すことはマナー違反かもしれません。しかしあえて出させていただきます。(駄目だったら編集します)
上橋菜穂子先生作品がお好きな方、ぜひ、ぜひ読んでください。物語から溢れ出す生命の香りに鳥肌が立ちますよ。
本作の主人公ラケが生きるのは「イェンダ」という集落ですが、その描写が素晴らしい。
人々の息遣い、食べ物の匂いや味、生活音。作者様がイェンダ集落を心から愛していて、それが読者にもまっすぐ伝わってきて、我々読者は一話目からイェンダの人々のことが愛おしくてたまらなくなります。
しか…続きを読む