概要
入水自殺を図った主人公の文は、目を覚ますと銀鱗島という因習の残る離島に流れ着いていた。
銀鱗島では鱗生病《りんせいびょう》という死に至る病が流行っており、文も来て早々にそれを患う。残り時間が少ない中、文は銀鱗島内で差別を受けている海雲族の男や、島唯一の変人の医者と病の原因を解明するため協力関係を結ぶ。
果たして鱗生病の原因とは何か? 島が祀る人魚とは?
怪異が渦巻く島の謎に立ち向かう、因習村×和風神隠しホラー。
※当作品はnoteで公開していたものを加筆修正・一部設定変更したものです
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ホラーならではの恐怖も味わいながら、謎を追いかけていく素敵な作品です。
主人公、千代子さんはとても口に出せない不幸な出来事から、自殺を考えてしまいます。
入水自殺を図ってしまい、謎の離島に流れ着きます。そこで、彼女は二度と本土には戻らないと決心して、この島で生きようとします。
一話ごとに謎があり、美しい青年、奇妙な先生、自分と同じような境遇の不思議な男、そして助けてくれた女性などなど、どこまでも魅力的な登場人物が出てきて、不思議な話が続いていく。
目が離せない展開に一気に読んでしまいます。
夏の夜のジージーと鳴く虫の声、様々な描写力も素晴らしくその小説の中に溶けこんでしまうほどです。
ホラーならではの恐怖も味わいながら、謎を追いかけていく。
お薦めい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その島に辿り着いたのは、偶然か必然か。
ある出来事をきっかけに入水自殺を図った文が、辿り着いた先は人魚の住む島でした。銀鱗島と呼ばれるその島には人魚族が住んでおり、鱗生病という病が流行っていて──。
このレビューを呼んでくださった方の為にかなり簡略的に要約するとこのようなお話にはなるのですが、実際はこんなに単純な物語ではありません。ジャンルで言えば因習を取り扱ったホラーになるのかもしれませんが、島に住む人魚族の謎や、何故病が流行っているのか、文は何故この島に辿り着いたのか、島に漂う怪異の謎、などと読み進める程に謎が謎を呼ぶ展開はミステリーの色も強く、それらがとてつもないバランスで組み合わされた圧巻の世界観の物語だと思います。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!因習村の型にはまらない、先の読めないオリジナリティに溢れた作品
冒頭から引き込まれて、どんどん先が気になって行く作品でした。
ジャンル的にはいわゆる「因習村」を扱ったタイプの作品なのですが、他の多くの作品とは一線を画し、「更に一歩踏み込んだ」面白さを提示してくれる代物となっています。
主人公の文は、日常から逃げようとした先で「とある離島」に流れ着きます。
そこは既存の社会にはない「常識」がまかり通る、特殊な世界となっていた。
この作品の一番の特徴は、「人魚」という存在が、早期の段階で姿を現す点です。そして、ごく普通の人間と同じく交流が可能となっていきます。
人魚族とは何か、人魚族の間に広まる「謎の病気」の正体は。更に「謎の殺人が相次ぐ状…続きを読む