フォンダンショコラのような、繊細で濃厚な物語

戦争描写のある物語です。幸せなことに戦争というものから距離を置いて暮らすことができており、それゆえ私にとってはリアルなイメージを抱きにくい題材でした。しかし、調べ上げ、丁寧かつ繊細に描かれたこの物語からは、リアルなその場を想像でき、読み進めるほどにゾクゾクとしました。スクロールする指がプルプルと震えました。一気読みしたいと思いつつ、濃厚な文字の連なりに圧倒され、休憩を挟みながらの読破となりました。質感の異なる二部が、絶妙な加減で絡み合うさまは、まるでフォンダンショコラのよう。ぜひ多くの方にこの物語を味わい、そしてこの衝撃の後味を感じてほしいです!

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