どちらも同じ現実――――

静かな田舎町で繰り返される単調な日常。
その単調さの中に現れた風は、心を震わせ春風を運んできた。
想いを揺さぶられ、新しい自分を発見し、寄り添う心を育ててくれた。
しかし、生死をかけた激動の日々がやってくる。
単調だった暮らしが一変する。
彼女の元へ、友と共に必ず生きて帰る。
壊されていく精神を抱え、それだけを頼りにただ生き抜くことの苦しさ。
どちらも同じ現実なのに、人の作り出したものとは思えない落差が今もどこかで起こっている。
独り残された彼に唯一あるものは、彼女が教えてくれた絵を描くということ。
生き続けなければいけない彼は、生涯をかけて彼女と共に描き続けるのだろう。

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