概要
満月の夜、そう願ったわたしの前に現れたのは、不思議なクラスメイトだった。
自らを魔女と称する彼女は、願いを叶える代わりに、花魔女見習いとして、この世にとどまる亡者の魂の未練を解消する仕事を手伝ってほしいという。
半信半疑で引き受けたわたしを待っていたのは、個性豊かな亡者たちで……
生きることに疲れたあなたへ贈る、ファンタジーヒューマンドラマ。
※他サイトにも掲載中。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!愛することは難しい。
本人が望んでいない形だとしたら、それはもはや愛ですらないのかもしれない。
それでも、そう想ってくれる人がいるだけでいいじゃないか――。
「それで、君の願いは? だから僕を呼んだんでしょ?」
ミステリアスでクールだと言われるクラスメイトの野花彩は、おまじないで呼ぶことが出来る魔女だった。
「君は今日から花魔女見習い――彼岸花の魔女、だよ」
「一ヶ月後まで僕の仕事を手伝ってみて、それでも気持ちが変わらなかったら、お礼に君の願いを叶えてあげる」
自分の存在を消したいと願った小鳥遊沙那は、亡者の未練を解消するお手伝いをすることに。
彼岸花の花言葉は、『再会』。
花魔女は、与えられた花の花言葉…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「伝えられなかった伝えたい想い」それが伝わった時……
レビュータイトルにある通り「伝えられなかった想い」というのが大きなテーマになります。作品の副題にも「あなたの未練、解消します」とありますが、この「想い」というのが「未練」なわけです。
人間生きてると様々な後悔や苦悩が生まれます。それが「未練」というものになっていきます。
亡者たちも、生者たちも、みな何かしらの「未練」を持っているのは皆さん知っての通り。
その「未練」、いわば「想い」に向き合って解決していく、成仏させていく……っていうのが(*作品タイトルに偽りなし)あるのですが、これがまぁ切ないんですよね。詳しくは読めば良いと思うよ。
それと同時に主人公たちのドラマ(ここは詳しく書けませ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!消えたい・罪を償いたい — 悩みを抱えた少女たちを 繊細に描いた物語
自分の存在をなかったことにしたい。
そんな願いを叶えるために沙那が頼ったのは、彼岸花の魔女・彩。
彩は一ヶ月間、沙那が自分の仕事を手伝うことを条件に、その願いを叶えることを約束しますが、彼女自身も何か仄暗い過去を抱えているようで — ?
魔女の仕事のお手伝いを通して、二人の過去が少しずつ紐解かれていくこの物語。特に私が素晴らしいと感動したのは、登場人物たちの心情を細やかに描きだすストーリーの繊細さです。
この作品では、メインキャラクターの沙那と彩の心情変化はさることながら、その周囲の登場人物の感情まで非常に丁寧に描かれています。実際、読み進めている間じゅう、それぞれの登場人物の行動やセ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しく少し苦い、魔女と亡き者たちの物語
柔らかな文体から始まる物語は沙那の「消えたい」「誰の記憶からも忘れられて、きれいさっぱりなくなくなりたい」という願いから、ほんのり不穏な空気を纏う。
それはもしかしたら、どこかの誰かも心のうちで思ったかもしれない願い。魔女である彩はその覚悟を確認するために、仕事を手伝ってほしいと伝える。
その中で巡り合う無き者たちとの交流を経て、徐々に明かされていく彩の謎と沙那たちの変化。謎が明かされ、かちりと歯車のように嵌っていく様子は読んでいてとても心地よいものでした。
生きるということ。死ぬということ。苦しくて目を逸らしたくて仕方のないことや尽きない後悔を前にして、どのように向き合っていくのか。それ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誰かの自己犠牲で、他の誰かを幸せには出来ない。
学校での噂話で、魔女が願いを叶えてくれると知った主人公は、魔女と会うための準備をした。主人公が願うのは、自分が消えること。そんな主人公の前に、花魔女と名乗る少女が現れる。それは主人公の見知った人物だった。そして彼岸花の花魔女である少女は、主人公の願いに覚悟があるかを確かめるために、自分のアシスタントを申し付ける。
舌ったらずな子供や恋人に未練がある女性、未練を明らかにしない老人。それぞれの本当の未練を見極め、「成仏」させていく。
そして、徐々に主人公と魔女は中を深めていくのだが、魔女にはある過去があった。
魔女になる前、彼女はただの人間として育った。ただ彼女の母親は早くに亡くなってい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!永遠の離別に寄り添う魔女は、花言葉と同じ祈りを込める
誰の記憶からも、自分が生まれたことも生きてきたことも消し去って、きれいさっぱりいなくなりたい。
何でも願いを叶えてくれるという魔女に、女子高生・紗那が頼み込んだのは切実な思いでした。魔女は快諾してくれたものの、ちゃんとした覚悟があるかどうかテストさせてほしいと言います。
願いを叶えるための条件は、幽霊を成仏させる手伝いをすること。魔女の見習いになった紗那が出会うのは、ときに無垢でときに苦しい思いを抱えた幽霊達でした。
届かない幽霊の声や残された家族のその後に涙腺をじんわり緩ませながら、魔女とその見習いが巻き起こす奇跡を最後まで目に焼き付けてください!