愛することは難しい。

本人が望んでいない形だとしたら、それはもはや愛ですらないのかもしれない。
それでも、そう想ってくれる人がいるだけでいいじゃないか――。

「それで、君の願いは? だから僕を呼んだんでしょ?」

ミステリアスでクールだと言われるクラスメイトの野花彩は、おまじないで呼ぶことが出来る魔女だった。

「君は今日から花魔女見習い――彼岸花の魔女、だよ」
「一ヶ月後まで僕の仕事を手伝ってみて、それでも気持ちが変わらなかったら、お礼に君の願いを叶えてあげる」

自分の存在を消したいと願った小鳥遊沙那は、亡者の未練を解消するお手伝いをすることに。
彼岸花の花言葉は、『再会』。
花魔女は、与えられた花の花言葉によって、それぞれ使える魔法が違うのだ。

想いは、重い。
その重さに潰されたり、ハリボテだったことを見抜いて絶望するかもしれない。
あるいは、愛からついた嘘を信じて、見抜けなかった自分を酷く責めるかもしれない。
あるいは、受けた愛に報いるために、何も知らない子どものフリをし続けるかもしれない。

それでも、最後には、また別の真実が現れるかもしれない。
重いは増して、形はいつか変わる。なくなったものは、きっと形を変えて現れるだろう。

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