概要
受け持ち生徒はたったの二人。
だが。
そのうちの一人が。
全く登校してこない。
電話をしても、「体調が悪く、今日は休ませて下さい」というばかり。
行橋は、ケース検討会議で出会った社会福祉協議会職員香川と、不登校状態になっている田部滉太の家に赴く。
何故、彼は家から出られないのか。
何故、彼は学校に行けないのか。
その家には。
なにがあるのか。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!生徒が家から出られない理由が泣けました
ある事情から特別支援級の教諭になった行橋。
行橋はあることがきっかけで過敏腸症候群に苦しんでいたが、そんな彼のもとに大きな難題が降りかかる。
不登校の生徒を担当することになったのだ。
名前は田部滉太。
行橋たち学校側と、教育委員会、社会福祉協議会が協力し、田部をなんとかしようとするが——。
ホラーです。社会派ホラーというべきなんでしょうか。
教育現場で起きているリアルな問題を鮮やかに見せていく一方で、ホラーなんですよね……。
まさかプ(規制)とシ(規制)ーがあんなに恐怖の根源になるとは思いませんでした……。筆者様の筆力に恐れ入りました。
もうシ(規制)ーを穏やかな気分で見られないかもしれな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ホラー作品なのに感動して涙が出そうです。素晴らしい作品に浸ってください
中学校教諭である行橋の重い独白からはじまる物語。
冒頭はなんとも重苦しい。でも、読みやすい。
さて、自分にも問題を抱える行橋が担当したのは、まったく学校に登校してこない生徒。
社会福祉協議会職員香川とともに、不登校の生徒、田部滉太の家に赴く。
そこに憑いている恐怖……
なぜ、彼は家から出られないのか。
ミステリー仕立てのホラーに、どんどん引き込まれていくこと請け合います。
そして、最後に到達する感動のラストシーン。
泣けます、幸せな気持ちになれます、ホラーなのに。
どうぞ、お読みください。傑作です。 - ★★★ Excellent!!!社会問題、恋愛、人情、家族愛、ホラーありの、熱いヒューマンドラマ
ジャンルは、ホラーなのですが、読み始めてみると、まったくホラー要素はありません。
主人公は、不登校の生徒と向き合う、中学教師の行橋先生。しかし彼は、心労からきた病気を抱えており、彼自身が不登校になりそうな状態です。
そんな彼が、転校以来の不登校で、顔も知らない生徒、田部くんのために、ボランティア・コーディネーターの香川さんと共に、動き出します。
初めは、病気のこともあり自信を失い、覇気もなかった行橋先生ですが、だんだんと、本来の熱血教師に戻っていきます。
田部くんとは別の、もうひとりの担当の生徒と、彼の属するサッカー部の顧問の先生のエピソードは感涙ものです。
不登校の田部く…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この家族に、心からの祝福を!!
学校に来ない、田部滉太。
彼の学習のサポートのために、行橋先生とボラコの香川さんは彼の家を訪れます。ところが、田部くんは家には入れず、「玄関先で」と中々無茶を述べ……。
しかし、それには二つの理由がありました。しかも悲しいことに、その二つは無関係ながら共通点が……。
中々ハードではありますが、ハッピーエンドです。ホラーもあるけど、大丈夫です。上記の三人の掛け合いが面白いし、ほっこりしてかわいい。大丈夫です!(大事な事なので二度言います)
全て読み終え、もう、ただひたすら、幸せを願いたい。色々書きたいのに言葉が出ない。
この物語を通して生まれた家族に、心からの祝福を!! - ★★★ Excellent!!!当たり前のようで当たり前じゃない『ありふれた日常』と『ささやかな幸せ』
ホラー作品といったら、怖さが描かれているもの。
こちらのお話も冒頭から不穏に澱んだ空気が漂い、じわりと背筋を撫でるような恐怖が満ちています。
しかし、この作品の特徴はただ怖いだけではない点。
得体の知れぬモノに脅かされる恐怖だけでなく、人間の闇が生み出す『人怖』要素も存分に含んでおります。
そのため、恐ろしさ以上に悲しみと痛みが刺さり、読み進めていく内に震えながら涙するという奇妙な状態になってしまいました。
登場人物達を脅かすのは、怪異と『無関心』。
当たり前の日常が何なのかもわからなくなった中、それでも手を伸ばし掴もうとするのは『ささやかな幸せ』。
読み終えてタイトルを改めて噛み…続きを読む