一旦完結とのことで、未来どうなるかはさっぱりわからないのですが……
人情と人の暖かさ、幽霊や化け物、妖怪の思いを感じられるほのぼのホラーです(`・∀・´)!!
うそじゃありません。
本当に本当に優しい物語ばかりで、読むたびに心癒されるホラーなんです。
でも、ちゃんとホラー。怪異は不気味で、本気で「怖あああ!!!」と叫んだ描写もあります。そして、人間描写のリアルさに唸らされたところも。
でも、最後は心があったかくなって……素敵なお話だったなと思うのです。
そしてなによりのお楽しみは、狂言回し役である傷を負う青年・覡のヒオと、聡明な異能者・アキラの二人が、なんかこう絶妙に、色っぽくてスリリングだけれどもホクホクする関係だということ……、その関係が少しずつ進み、ヒオがどんどんと昔の傷を吐き出すことで、成長しつつある萌芽が見られるということ……!
続編を是非楽しみにしています!
異能者であるアキラと、覡のヒオが怪異解決の依頼を受けて現場に乗り出す、民俗学ホラーの短編連作。
アキラは初対面だとパッとしない印象を付ける女性ですが、彼女の目は誰の心にも印象に残る、そんな才能あるお方。
そして助手のヒオは、芸能人みたいな華やかな外見、少しぶっきらぼうな対応をするアキラに比べると柔和な雰囲気の(でも実はけっこうズバッと言ったりする)男性です。
この二人の関係、なぜ対照的とも言える彼らがバディを組んでいるのか。
その経緯にはけっこう重いものがあるのですが、今はアキラ大好きヒオの押せ押せプロポーズ作戦が行われているので、各話の冒頭にある、この二人のやりとりは、恋愛要素たっぷり。
本作は、解決編はわりとサクッとしています。
が、怪異の状態、なぜそうなっているのか、何が起こっているのか、をきっちり描いてあります。何かしらんけど化け物出たわ、ではないのです。そこには理由があるのです。
そしてその理由もバラエティーに富んでいます。
そりゃ自業自得だろ、ってのもあれば、感動的な秘話があったり、お前のせいやんかっ、と非難轟々も。
どのエピソードも面白かったのですが、個人的には「茶室の幽霊」が強く印象に残りました。このエピソードだけで長編化してもいいんじゃないかってほど、怪異もその理由も、そして怪異に遭遇する山藤家の女性陣も魅力的です。また再登場して欲しいです。
また読んでいて、ドラマ化に向く作品だな、と思ったんですよ。
もちろん書籍化もありーの、の話で。
キャラも立ってるし、怪異も粒ぞろいですし。連続ドラマにぴったり!
冴えない感じの女性(実力者)と、超絶イケメン(激重過去持ち)のコンビが怪異に挑む、なんて映えるじゃないですか!!!
さらに香取議員っていう謎の大物政治家がパトロン(?)だしっっ。
いったん完結だそうですが、再開の予定もあるとか。
ホラーが苦手な人も人間ドラマに興味があるなら楽しめると思います。
おすすめの作品です。
拝読しておいてなんですが、ホラーは苦手なんです……。
けれど、青嵐様のホラーなら大丈夫! 怖くても、どこかに安心感があるのです。
それはきっと、作者の青嵐様の根底に、人に対する優しいまなざしがあるからだと思います(*´ω`*)
そんな青嵐様の今作のホラーはぼさぼさな外見だけれども目だけは印象的な女性・アキラと彼女の助手を務めるヒオがさまざまな怪異に向き合う連作短編です!(≧▽≦)
ホラーなのですが、怖がらせることに重きをおいた作品とは一線を画していて、正直、拝読して「こんな魅せ方があるのか!」と目からうろこが落ちました!(≧▽≦)
各短編の間には、アキラとヒオの関係が移り変わってゆく様子も書かれており、一粒で二度おいしい構成になっております(*´ω`*)
気になる方はぜひぜひお読みくださいませ~!(*´▽`*)
異能者であるアキラと、覡(かんなぎ)のヒオという二人が、数々の怪異を依頼されて調伏する、短編連作形式の作品です。
まず、この主役コンビがいい。
愛に無関心を装うアキラに、子どもが懐くように彼女を愛するヒオ。人と接することが苦手なアキラは、ついぶっきらぼうに突き放してしまいます。しかし、彼女の真の強さと優しさを知るヒオは、何度も何度も迫る。このイケメンと照れ屋女子って構図が魅力的なんです。
おそらく、外見だけで他人が判断するなら、逆なんでしょうが。
本編は五話。
民俗学的なホラー短編が連作になっており、ふたりが解決していく過程も秀逸です。
それぞれの短編には、人の業が姿を変え、趣向を凝して描かれ、読み応え抜群です。
とても読みやすい佳品です。
ぜひ、お読みください。きっと、あなたを失望させません。
幽霊や呪いなどといった怪異の存在があまり信じられなくなって久しいですが、それで目には見えずなかなか気づかないだけで、怪異というものは案外近くに潜んでいるのかもしれません。
そしてそんな怪異に立ち向かう職業も、この現代にしっかり存在するのです。
本作は、そんな怪異解決を仕事とする異能者のアキラと覡のヒオの物語。
人の生活を脅かし恐怖へと叩き落とす怪異を見事成敗。
と言いたいところなのですが、そう単純な勧善懲悪的なものではありません。
本作で出てくる怪異。呪いだったり幽霊だったり、もちろんそんなものを目の当たりにすれば怖いです。
しかし、ちょっと待ってください。
呪いって、いったいどんな恨みがあってそんなものをかけているのですが? 幽霊というのは未練があって出るものですが、じゃあその未練ってなに?
一見恐ろしげな怪異達ですが、決して悪とは限らない。
アキラだって、怪異はもちろん払おうとしますが、ただ力ずくで何とかするのでなく、その背景や関わった人たちのちもちと向き合い、どうすればいいか探っていきます。
時には、超常的なものよりももっと恐ろしかったり腹立たしかったりするものと向き合うことにもなりますが、そんな時アキラはどうやって事件を収めるのか。
そしてもうひとつの見どころは、アキラとヒオの関係。
言ってしまえば二人のラブはどうなるか。
ヒオの想いの矢印がアキラに向いているのは間違いないのです。そしてこのヒオという男、実はかなりのイケメン。
これでアキラが、こんなイケメンに思いを寄せられるなんて最高なんて思ってくれれば話は簡単、ある意味それもハッピーエンドにはなるのかもしれませんが、なかなかそううまくはいきません。
二人がどうなるかも、怪異が巻き起こす事件の行方と同じくらい、あるいはそれ以上に気になるところです。
呪いや幽的な事件のエキスパート、異能者のアキラと覡のヒオがコンビを組んで数々の怪異に挑むオカルト連作短編集。
こういった怪異を祓う異能者の話だと、恐ろしい怪奇現象が起こるイメージがありますけど、本作では怪異よりもむしろ人間の方が怖いかもしれません。
誰かに呪いを掛けたれた人には、呪われるだけの理由があり、幽霊に祟られる人は怨みを買うようなことをしたから。
怪異はけっして理不尽に人を襲うのではなく、襲われる人間側の悪の部分がしっかり描かれていました。
本当に怖いのは人間とは、よく言ったものです。
しかし中には、人間も怪異も悪いものではなく、読んだ後に暖かい気持ちになる、優しい怪事件もあります。
怨むも祟られるも、誰かのことを思って行動する優しさも、全てはその人のもの。
たくさんの怪異とそれに関わった人達のヒューマンドラマを、見てあげてください。