日常の隣に潜む怪異。けど本当に恐ろしいのは、その原因となる人なのかも。

幽霊や呪いなどといった怪異の存在があまり信じられなくなって久しいですが、それで目には見えずなかなか気づかないだけで、怪異というものは案外近くに潜んでいるのかもしれません。

そしてそんな怪異に立ち向かう職業も、この現代にしっかり存在するのです。

本作は、そんな怪異解決を仕事とする異能者のアキラと覡のヒオの物語。
人の生活を脅かし恐怖へと叩き落とす怪異を見事成敗。
と言いたいところなのですが、そう単純な勧善懲悪的なものではありません。

本作で出てくる怪異。呪いだったり幽霊だったり、もちろんそんなものを目の当たりにすれば怖いです。
しかし、ちょっと待ってください。
呪いって、いったいどんな恨みがあってそんなものをかけているのですが? 幽霊というのは未練があって出るものですが、じゃあその未練ってなに?

一見恐ろしげな怪異達ですが、決して悪とは限らない。
アキラだって、怪異はもちろん払おうとしますが、ただ力ずくで何とかするのでなく、その背景や関わった人たちのちもちと向き合い、どうすればいいか探っていきます。
時には、超常的なものよりももっと恐ろしかったり腹立たしかったりするものと向き合うことにもなりますが、そんな時アキラはどうやって事件を収めるのか。

そしてもうひとつの見どころは、アキラとヒオの関係。
言ってしまえば二人のラブはどうなるか。
ヒオの想いの矢印がアキラに向いているのは間違いないのです。そしてこのヒオという男、実はかなりのイケメン。
これでアキラが、こんなイケメンに思いを寄せられるなんて最高なんて思ってくれれば話は簡単、ある意味それもハッピーエンドにはなるのかもしれませんが、なかなかそううまくはいきません。

二人がどうなるかも、怪異が巻き起こす事件の行方と同じくらい、あるいはそれ以上に気になるところです。

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