ある事情から特別支援級の教諭になった行橋。
行橋はあることがきっかけで過敏腸症候群に苦しんでいたが、そんな彼のもとに大きな難題が降りかかる。
不登校の生徒を担当することになったのだ。
名前は田部滉太。
行橋たち学校側と、教育委員会、社会福祉協議会が協力し、田部をなんとかしようとするが——。
ホラーです。社会派ホラーというべきなんでしょうか。
教育現場で起きているリアルな問題を鮮やかに見せていく一方で、ホラーなんですよね……。
まさかプ(規制)とシ(規制)ーがあんなに恐怖の根源になるとは思いませんでした……。筆者様の筆力に恐れ入りました。
もうシ(規制)ーを穏やかな気分で見られないかもしれないです!!夜中に見たら泣きます!!
とはいえ、最後の最後のみんなが出した結論が、確かにとても人の噂に立ちそうな大きな問題ではあるんですが、納得のできる結論でした。だから読了感が良くて、ホラーなのに爽やかな優しい気分になれました。みんなが幸せになれますように。
あと、ちょっとネタバレになるかもしれませんが、結局のところ、怪奇よりも怖いのは人間だと……しみじみと感じました。
中学校教諭である行橋の重い独白からはじまる物語。
冒頭はなんとも重苦しい。でも、読みやすい。
さて、自分にも問題を抱える行橋が担当したのは、まったく学校に登校してこない生徒。
社会福祉協議会職員香川とともに、不登校の生徒、田部滉太の家に赴く。
そこに憑いている恐怖……
なぜ、彼は家から出られないのか。
ミステリー仕立てのホラーに、どんどん引き込まれていくこと請け合います。
そして、最後に到達する感動のラストシーン。
泣けます、幸せな気持ちになれます、ホラーなのに。
どうぞ、お読みください。傑作です。
ジャンルは、ホラーなのですが、読み始めてみると、まったくホラー要素はありません。
主人公は、不登校の生徒と向き合う、中学教師の行橋先生。しかし彼は、心労からきた病気を抱えており、彼自身が不登校になりそうな状態です。
そんな彼が、転校以来の不登校で、顔も知らない生徒、田部くんのために、ボランティア・コーディネーターの香川さんと共に、動き出します。
初めは、病気のこともあり自信を失い、覇気もなかった行橋先生ですが、だんだんと、本来の熱血教師に戻っていきます。
田部くんとは別の、もうひとりの担当の生徒と、彼の属するサッカー部の顧問の先生のエピソードは感涙ものです。
不登校の田部くんの信頼を徐々に得て、そして、彼から「助けて」の電話が香川さんに入ります。そこから一気に、田部くんの不登校問題は解決していきます。
が……。
行橋先生、香川さん、そして田部くんのコミカルなやり取りは、くすりと笑わせてくれます。
けれど、行橋先生は、決めるところでは決める男です。
読みながら、泣いて、悩んで、笑って、怖がって……。
ジャンルが、ホラーなので、読み終わってみると、しっかりホラー要素満載でした。
学校に来ない、田部滉太。
彼の学習のサポートのために、行橋先生とボラコの香川さんは彼の家を訪れます。ところが、田部くんは家には入れず、「玄関先で」と中々無茶を述べ……。
しかし、それには二つの理由がありました。しかも悲しいことに、その二つは無関係ながら共通点が……。
中々ハードではありますが、ハッピーエンドです。ホラーもあるけど、大丈夫です。上記の三人の掛け合いが面白いし、ほっこりしてかわいい。大丈夫です!(大事な事なので二度言います)
全て読み終え、もう、ただひたすら、幸せを願いたい。色々書きたいのに言葉が出ない。
この物語を通して生まれた家族に、心からの祝福を!!
ホラー作品といったら、怖さが描かれているもの。
こちらのお話も冒頭から不穏に澱んだ空気が漂い、じわりと背筋を撫でるような恐怖が満ちています。
しかし、この作品の特徴はただ怖いだけではない点。
得体の知れぬモノに脅かされる恐怖だけでなく、人間の闇が生み出す『人怖』要素も存分に含んでおります。
そのため、恐ろしさ以上に悲しみと痛みが刺さり、読み進めていく内に震えながら涙するという奇妙な状態になってしまいました。
登場人物達を脅かすのは、怪異と『無関心』。
当たり前の日常が何なのかもわからなくなった中、それでも手を伸ばし掴もうとするのは『ささやかな幸せ』。
読み終えてタイトルを改めて噛み締めると、じわりとこみ上げてくるものがあります。
もちろんキュンキュンなラブ要素もあり!
更に、武州作品ファンには嬉しいサービスシーンも♡
怖いだけじゃない、胸を切る悲しみを乗り越えた先に生まれる感動があたたかな余韻を残す、新感覚ホラー作品です。
このお話は、本当に胸が掻きむしられるような、息の詰まるホラーでありながら、本当に温かな、でもちょっと普通じゃない”家族の絆”を描いたお話です。(そして、タグに『(念押し)恋愛要素あり』とあるとおり、微笑ましい”オトナ”の恋愛模様(?)もアリのお話でもあります。兎角、この作者さまはサービス精神に満ち溢れており、どのくらい満ち溢れているかは応援コメントの盛り上がりからお察しくださいませ)
本当に、とても怖いホラーなのですが、作者さまのお人柄にじみでた、優しさに満ちたお話ですので、ホラーが苦手な方にも安心してお読みいただけます。
でもなによりこのお話、いえ、福祉の最前線で戦っておられる作者さまのお話すべてが私に強く印象づけるのは、”社会的に不利な立場におかれている人”の心の悲鳴を代弁されているような、多分に風刺的な物語です。そして、そのような重いテーマを扱っていながらも、巧みな構成と丁寧に描かれた人物描写により、少しも押し付けがましくならず、むしろすっと心に染み込み逆にこちらが励まされているという筆力の高さと作者さまの芯の強さなのです。
このお話に限らず、こちらの作者さまのお話はホラーや難しい題材を扱ったお話なのですが、ぜひ、「今、しんどいな。辛いな」と思っているときにこそ読んでみてください。
きっと、心を軽くしてくれますよ。
まず、私は本作を読んで単刀直入に面白いと思いました。
文章はプロの作家かと思うほど丁寧で、かつ無駄が無くて読みやすく、サクサクと読めて内容がしっかりと頭に入ってきます。
そしてストーリー、緩急の付け方が素晴らしく、ジェットコースターのように目まぐるしく展開が変わって飽きる事がありません。そしてメインであるホラー部分はガッツリ怖い。しかし、ただ怖いだけではなくて、要所要所での人間ドラマの部分も思わず胸にきてしまうようなところが沢山ありました。
ホラーって結構形式化されていて、そこが面白いという部分もあるのですが、この作品は従来のホラー作品のパターンから割と外れているように思いました。しかし、それはただ奇をてらった外し方ではなく、この作者ならではの「新しいホラー」の形ではないかと私は感じました。
私はこの作者さんが今後もホラーの新しい形とパターンを切り拓いてくれる事を願っています。
つらい持病のある教師の行橋先生。
病気のために仕事には支障をきたし恋人とは別れる。
人生どん底の暗い顔をしていました。
そんな折、彼は不登校の生徒・田部くんとの接触に成功します。
その出会いが、彼の運命を大きく明るい方へ揺り動かします。
人を傷つけるのも人。
でも、人を救うのも人。
この作品には、複数の「親」が登場します。
どの親も、良くも悪くも人間味があります。
分かり合えない親もいます。分からない方がいいだろうと思う親だっています。
でも、ラストにまとまったこの親子は、お互いを救い合って引き上げた仲です。
ずっとずっと、幸せでありますように。
そしてあの子も、いつかは幸せになれますように。
それにしても、童謡って、なんだか怖いですよね。
これぞエンタメ! と呼びたい物語です。
その幕開けはトラブルが渦巻くリアルな中学の教育現場から。
過酷な職場に潰されかかっていた行橋先生は、本来の情熱と優しさを振り絞って、一人の生徒を救おうとしていました。
彼の熱意に応えたのはボランティアコーディネーター(通称ボラコ)の香川さん。
しかし二人が訪れた不登校状態の田部君の家には、どこか禍々しい匂いがして……。
* * *
まず現代の中学教育が抱える問題を、物語の背景として描き出す手腕に驚かされます。
さらに心優しい熱血教師の行橋先生と、正義感溢れる天然乙女の香川さんの甘くコミカルな恋の行方も読みどころです。
そしてホラーシーンの筆の冴えは「背筋が凍りつく」という表現そのもの。そちらがダメな方は本気で止めます。
ほんとうに怖かった。(もうダメかと思った)
ただし最後まで読まないと、このあたたかな至福の読後感には絶対にたどりつけません。
この作品は、読んだ人を幸せにするホラーです!
特別支援学級の担任である行橋教諭の受け持ち生徒は二人。そのうちの一人田部滉太はまったく出席してこない。協議のすえ、ボランティア・コーディネーターである香川さんと二人で、田部の家を訪ねることになるのだが、この香川さんがとても素敵な女性で……。
本作は、自身も特殊な病気に苦しみつつ、受け持ち生徒を救おうと奮闘し、協力してくれた香川さんと気持ちを通じ合わせた行橋教諭が、真に「幸せな家族」を得るまでの物語である。
その過程において、不登校の問題や教育現場の難しさ、ボランティアの方々の苦労などが、見事に描かれ、また行橋先生と香川さんの、二人のじわじわと近づいてゆくエピソードが差しはさまれていて、リアルな現場が描かれた、社会派の物語であるといえる。
そして、超一級のホラーである。
え?と思うかもしれない。上記のストーリーラインのどこに、ホラー要素があるのか?と、普通の人は考えるだろう。きっと、ぼくだって、そう思う。
が、がっちがっちのホラーである。
いままで読んだホラー小説の中では、トップクラスの怖さだ。
みなさんは、ホラー小説というとどういうものを想像するだろうか? 「リング」? 「憑き歯 密七号の家」? どちらも怖かった。もう表紙からして怖い。文体だって、もう冒頭からおどろおどろしい。
が、本作「幸せな家族」は、ホラーとしては「?」な題名である。事実読み始めても、まったくホラーではない。
ときに、この世にある本当の怪異とは、いかにもな心霊スポットや夜の墓場だけに現れるものだろうか? もしかしたら、真昼間、ふつうの人間の顔をしてわれわれの目の前に現れることはないのだろうか?
事実、実際の怪異に直面した人たちの話を伺うと、それは突然に普段の生活のなかにぽっかりと開いた穴のように現れ、理由もなく、訳も分からず襲い掛かってくるという。
本作中では、福祉や教育の問題に触れつつ、そのなかで人を思いやり、出来ることを努力し、必死に生徒を救おうとする教師のリアルな社会派小説という世界がきっちり構築されている。
だが、その光り輝く世界観が、ぎぃぃぃぃっと開いたたった一つの鉄の扉でぶち壊されるのだ。その直前の、感動的な場面で涙を流していた読者たちは、まるで実際の怪異に直面したかのように、恐怖の井戸にいきなり叩き込まれ、身も凍るような恐怖を味わうことになる。
なんということだ。あの、ちょっと泣けてしまうほど素晴らしい社会派小説は、読者を恐怖に叩き込むための、舞台装置、あまりにもよく出来た、いや出来過ぎた罠だった。
普通、そこまでするか?
こんな大掛かりな罠を仕掛けられたのは、映画「スティング」を観たとき以来だ。
が、恐怖はここで終わらない。怪異は正体を現さず、消え去るのだ。そして、何事もなかったように物語はつづく。そう……、恐怖は持続しない。瞬間的であり、人はそれに馴れる。作者はそれをよく知っている……。そして、ふたたび恋愛要素の絡んだお話が始まり、ほっこりした辺りで、そこに「〇〇」がぽっかりと姿を現す。
たった漢字二文字。その変哲のない二文字が、もう腰が抜けるほどに怖い。
あまりにも怖いので、半泣きで作者にコメントした。「怖いです」と。
作者からの返信は、こうだ。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ」
ああ、ぼくには絶対ホラー小説は書けないな、とこのとき思った。
ホラー小説のレビューを書いたつもりだが、まるでこのレビュー自体がホラーのようだった。
冒頭から暗いです。どんよーりとしていて、暗い。
ホラーですから。でも、ただのホラーではありません。
この作品。私はトイレに行くたびに思い出しました。
そして、これからも思い出すことでしょう。
人生いろいろありますが、頑張ろう。読んでいて何度もそう思いました。
そして、愛の重要性も感じます。なにも色恋沙汰だけではなりません。
しかし、その色恋沙汰もなければ味気ないというもので。
つい最近、「こわい話」というタイトルの短編集を読んだのですが、感想は「こわい」ではなく「気持ち悪い」でした。
私の中でホラーとは、「怖くも美しい」が重要なのでしょう。はい。
つまり。
この作品は面白いのです。
支離滅裂なレビューになってますが、何か言わずにはおられないパワーがある作品なのです。おすすめです。
ジャンルはホラーな本作。ですがその前に、この話は叔父事小説としても素晴らしいものだと思います。
主人公は特別支援学級の担任である行橋先生。特別支援学級と言うとあまり馴染みの無い方も多いと思います。自分もそうでした。
ですがそんな方にこそ読んでほしい。そこに通う子供たちがどんな子なのか。そして何を悩んで、どうやってそれに向き合っていけばいいかが丁寧に描かれていて、興味を持つきっかけになるのではないかと思いました。
他にも、不登校になった生徒の家に尋ねたり、学校に来ない彼にどうやって勉強を教えていくか考えたり、あまり知らない先生と言う仕事の一面を見ることが出来ました。
この話のもう一つの大きな特徴が、恋愛要素です。
行橋先生と、ボランティアコーディネーターの女性、香川さんとの恋愛模様が時に甘く、時にじれったく展開されます。
えっ、この話のジャンルはホラーじゃないのかって?
もちろんホラーな展開もちゃんとあります。先に上げた不登校の生徒。彼の家にはある怪異が潜んでいるのです。
何だか話が飛び飛びになってしまいましたが、それはこのお話にそれだけいろいろな要素が詰まっているという事です。ホラー、お仕事、恋愛、どれも作品を語る上で取りこぼすことのできない大切な要素で、それらが見事にマッチして、一つの素晴らしい物語を作り上げていくのです。
決して一つのジャンルにとらわれない新しい物語の形です。
このお話のジャンルはホラーですが、見る人によって現代ドラマにも恋愛モノにもなると思います。
もちろん怪奇現象は起きます。だけど読んでいて思ったのが、怖いのは生きている人間だと言う事。この物語の中には、人間の悪い部分が多数描かれています。
特別支援学級の担任の先生の事を、蔑む目で見る同僚の先生。モンスターペアレントな保護者。そして子供を蔑ろにして、まともな生活をさせない親。
中学校教諭の主人公、行橋先生は人間関係で苦しみながらも、悩みを抱えた生徒にぶつかっていくわけです。ストレスで身体を壊したり、ちょっと頼りない所もある先生ですけど、生徒を思う気持ちは本物。真っ直ぐな態度で生徒にぶつかっていきます。
え、ここまでレビューを読んでて、怖い要素はあるかもしれないけど、全然恋愛モノっぽくは無いと思ったって?いえいえ、ちゃんとあるのでご安心を。
芯が強くて、家庭に問題がある生徒に体当たりでぶつかって行く、ボランティアコーディネータ―の女性、香川さん。彼女の存在が、この物語にラブを運んできてくれます。
虐待や不登校など、話のテーマは重たいですけど、恋愛要素を加える事で暗い話にはならずに、むしろドキドキでラブラブな雰囲気すら漂わせるのです。
ホラーが読みたいけど、恋愛モノも読みたい、現代ドラマにも興味があると言う方。このお話なら一作品で多数のジャンルを網羅できます。ぜひ読んでみてください。
既存の価値にとらわれず、常に新しいジャンルを作り出す作者様。
そんな武州先生の新しいジャンル「恋愛ほのぼのホラー小説」です。
ホラーなんですよ、読んでいくとホラーなんですけど
ほのぼのとして、恋愛要素が絡んで、「爆発しろ」と念じてしまうお話なんです。でも実際はホラーです、怖いです。といいながら、ほのぼのとさせられます。
このお話の中に出てくる怖さの根源をたどって考えてみましたが、怖さの根源は人間なんですね、やっぱり人が一番怖い。でも人は人に癒やされますし、人は人に愛されるんですね。
そういう人と人との関係は、やっぱり大事にしないといけないな、家族って大事だな、そんなことを教えてくれる「恋愛ほのぼのホラー小説」。
みなさんも是非ご一読下さい。
今回も中身のレビューは何一つ書けませんでしたが、伝えたいことは伝えきりました!! 「恋愛」と「ほのぼの」と「ホラー」は共存出来るんです!