概要
人喰いの神に娶られる少女と、その少女の肉を割いて烹る料理人の恋。
東の国の領主の娘であるギュリは、死ぬのも生きるのも嫌なほどに、無気力な日々を過ごしていた。ギュリの住む土地は非道な大国に支配され、希望はまったくないからである。
やがてある春にギュリは、大国の神に捧げられる生贄の花嫁として選ばれ、嫁いだ先の宮殿で自分を食材として殺す料理人の青年に出会う。
生贄として捧げられた不幸な花嫁の少女が神様と恋に落ちて溺愛、みたいな展開にはならないまま女の子が美味しい物を食べて死ぬ連作短編の中華後宮ホラー料理小説。
✦ 2024/12/15 続編の投稿を始めました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330654352687649
目次
1.挽き肉入りの緑豆の丸餅―領主の娘と使用人の少年―
2.青魚の香蕉の葉の包み焼き―王と王になりた
やがてある春にギュリは、大国の神に捧げられる生贄の花嫁として選ばれ、嫁いだ先の宮殿で自分を食材として殺す料理人の青年に出会う。
生贄として捧げられた不幸な花嫁の少女が神様と恋に落ちて溺愛、みたいな展開にはならないまま女の子が美味しい物を食べて死ぬ連作短編の中華後宮ホラー料理小説。
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1.挽き肉入りの緑豆の丸餅―領主の娘と使用人の少年―
2.青魚の香蕉の葉の包み焼き―王と王になりた
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!美しい。鮮やかに広がる異文化、極上の郷土料理、色濃く落ちる影
大国・大嘉帝国の支配者である大帝は神である。全ての頂点に立つ大帝にとって、その下に位置する命は、皆全て食すべき存在である。中でも、生贄の花嫁として献上される少女は神聖な食材であり、彼女たちは饗花宮にて最後の時を過ごした後、屠られ、神に食われる。
読み始めてまず、歴史物・アジアンファンタジーといった空気感に驚かされました。人々の暮らしや文化といったものが仔細に描かれ、それらの記録のようにも感じました。民族衣装、郷土料理、建築物、信仰や国政など。その土地や人間と切っても切り離せない様々なものが鮮やかに目の前に広がり、異文化に直に触れているようでした。
文化の中には風習も含まれています。それはそ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!因習国グルメ
私はホラー小説が苦手なのだと思っています。ですがこの作品は読んでみたいと思わされ、手に取りました。
とても陰惨な習俗に関わらなくてはならなくなった人々の物語。
少女達の生い立ちから旅路、宮殿の様子、そして食事までが子細に描かれ美しいです。ホラーというよりは歴史小説ではないかとも感じました。
ですが通底する支配・被支配の関係性。国家・大陸規模で強制される宗教的因習。
淡々と仕事をこなす男たちや宮女の真実の思いはどこにあるのか明かされません。逃れられず、逃れようともしないその在り方はむしろ恐ろしく、これはやはりホラーなのでしょう。
因習村のスケールが大きいものだ、と思ってよく見たら、タグに〈…続きを読む