大帝に捧げられる四人の少女の運命。

東からコリアン系のギュリ、南からインドネシア系のハルティナ、西からトルコ系のシャーディヤ、北からロシア系のラストーチカ。

花も羞じらう少女たちが大嘉帝国の皇帝の犠妃こと饗宴に捧げられる食材として故郷を離れ、帝国の宮殿で最期の日々を過ごす連作短編集です。

四人の少女はそれぞれ哀しい運命にありますが、四章目のラストーチカの物語まで読むと不思議な救いがあります。

饗宴の主賓である大帝が最後まで姿を現さない、彼(?)の正体が敢えて描かれない点に権力の底知れない闇や奥行が感じられて良かったです。

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