「勇者刑とは、もっとも重大な刑罰の名前である。」
この最初の一文だけで、もうこれは面白いと確信しました。硬質な印象の文体で紡がれる物語はとにかく大胆で、イカれた性格破綻者がクズな行動をしているだけなのに英雄譚を作り上げてしまう展開には大爆笑必至です。かと思えば主人公と女神の関係がどこか切なく愛しく思えたり、底知れない敵の暗躍にドキドキしたりと、シリアスとコメディのバランスが本当に絶妙で飽きさせません。
勇者と魔王というテンプレートな素材を使って、ここまで個性的かつ面白い物語を作り上げた作者様のセンスには脱帽です。魔王現象と戦い続ける勇者の行く先には何があるのか、ぜひ多くの読者さんとともに見届けたいと思います。
女神は、人を愛するように、「作られている」理不尽さ。それでも、その気持ちが、自分の気持ちであることを疑わず、精一杯愛する者のために生きている。その一途さから美しい魅力的な物語が生まれていく。
私にとってストライクのストーリーで、すごく面白いし、考えさせられます。
スピルバーグのAIが、一番好きな映画です。
この作者の他作品である勇者のクズも同じテーマを持っているように感じていて、とてもおもしろいです。
私達も、他人を愛するように「作られていて」、その心の動きに、振り回されて生きていると思います。女神と自分たちは、本質的には違いはない。たがらこそ、困難を超え生きることで、生まれる物語に心が動かされます。
今後を楽しみにしています!
この作品の最大の魅力はとにかく勇者部隊。
クレイジーな犯罪者集団がその悪辣さを存分に発揮して人類のために戦う、このシチュエーションに燃えない人とかいるんですか?
本作は主人公ザイロ・フォルバーツを中心に物語が展開しますが、いわゆる群像劇に近い描かれ方をしており、それぞれの人物描写の丁寧さや巧みさも特筆すべきものがあります。
設定やギミックも非常に作り込まれていて、勇者たちの過去や背景、強力な兵器でありながら憐れみを誘う女神と言う存在、勇者システムによるリスクなど、気になる伏線や要素がそこかしこに張り巡らされています。
そういった伏線と危険や困難が過ぎるミッションによって常に緊張感を維持しており、それ故に展開も弛れることなく面白さも突っ走っています。
私個人としてですが、いまカクヨムで連載中の作品で本作を超えるクオリティと面白さを提供しているものはほとんど無いと言っていいと思います。
さあ、あなたもクソッタレな教会や軍部に中指おっ立てながら、勇者たちのイカれた作戦を楽しみましょう。
愛すべきクソ野郎たちがあなたを待っています。
「勇者刑とは、もっとも重大な刑罰の名前である。」
強烈な一文から始まるストーリーは、ひたすらに刺激的。
勇者刑に処された彼らは、主役であるザイロを始め誰もが最悪の刑罰に相応しい、社会を揺るがす犯罪者たち。
読み進めば進むほど、それぞれの超人的な技能、そして独自の価値観があらわになり、読者は、勇者たちは間違っても在野に放せない存在だと思い知る。
人間社会は到底、彼らのような「危険人物」は許容できないからだ―――平時であれば。
この世界には、「魔王現象」という脅威があった。
愚かさゆえに「普通」にはなれない彼らが、愚かさゆえに「勇者」たり得る。
彼らの巻き起こす無秩序な暴走が、「女神」の加護を得て、絶望的な戦いの流れを変えていく様を見届けませんか。