兎に角ヒロインの設定が面白いに尽きる。一つの作品では勿体無い程、ヒロインの出自とそれに伴う王家との遣り取りや商才に長けた婚家の領地発展の発想等々。タイトルだけでは、単なるお上り様の滑稽話と思っておりましたが、いい意味で裏切られました。数多の作品を拝読しましたが、今作は私の中で五指に入る程面白く読了させてもらいました。
帝都のことが大好きな元商人の娘が、養子として辺境伯に嫁ぐことになった。帝都に戻りたいという欲望のまま、衰退していた辺境の地を改革し始める。秘められた才能で立身出世的な婚姻譚である。決断力があり、人たらしで、抜群の才覚を発揮していくヒロインは快活で魅力的で、サクサクと人を懐柔していく様子が面白い。ヒロインに隠された秘密は大きいはずなのに、破天荒さで予想をどんどん上回っていくことだろう。
身代わり結婚させられた商人の娘は、なんと、国境の辺境伯の元へ嫁ぐよ。 ところが、このヒロイン、「懐かしい都に帰りたいわ」と嘆き暮らす様な玉じゃない! 結婚相手の意識を変え、領地を作り替え、国を作り替え、権威や秩序をブチ壊して行くよ。 クセツヨヒロインの暴走は止まらない!!
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(94文字)
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