第七話 ヘスティリア、婚約者の事を知るなど

 ヘスティリアとしては、こんなに大きくて強そうなヴェルロイドなら、決闘になってもまずは遅れをとるまいと思ったのだ。


 それでウェルロイドを口車に乗せて連れてきた訳である。自分が一人でノルレアに向かうと言えば、ノルレア国と問題を起こしそうな自分を彼が放置する筈がない、と彼女には分かっていた。


 しかしヴェルロイドが自分の代わりに決闘を引き受けてくれるかは五分五分だと思っていた。彼には決闘をする義務などないからだ。「私が決闘をしなければならないなら、そんな話は無しだ」と言われても仕方がないと思っていたのである。


 しかしヴェルロイドは不満そうな顔をしながらも決闘に出てくれた。ヘスティリアはホッとしながらも密かに感心する。


 彼はヘスティリアの提案がアッセーナス辺境伯領にとって重要なものであることを理解したからこそ、自分の身体を張ってくれるのだと思ったからである。


 こう言ってはなんだが、ヴェルロイドは交易についての知識があまりなく、その重要性も十分に理解しているとは言い難い。彼は頭は良く部下からの信頼も厚く、家臣からもそれなりに信服を受けているが、いかんせん経験が無く知識も足りないのだ。


 しかしながら彼は、分からない事を「分からないから」と切り捨てない統治者だった。物事の重要性を感覚で理解して、分からないが重要な事を、理解出来ている者に任せる事が出来るのである。


 ヴェルロイドがヘスティリアに交易振興をいわば丸投げしているのは、彼が交易については分からないが、それは領地について重要であると理解しているからだった。自分にとって分からないことを、部下に任せる事が出来る統治者はそれほど多くない。なんでも自分で抱え込む統治者は大体が「分からないが重要な事」が理解できずに失敗するものなのである。


 おかげでヘスティリアは領主であるヴェルロイドの権限を借りたまま、思う存分好き勝手に自由に交易振興のために活動する事が出来た。何度かヴェルロイドの家臣があまりにも好き放題に動くヘスティリアについて苦情を入れた事もあったのだが、ヴェルロイドは徹底してヘスティリアを庇ってくれた。


 本人には言わないがヘスティリアはこの大きくて美形の婚約者の事を、統治者として優れていると認めつつあったのである。


 ヴェルロイドとガルデルは上着を脱いで、集会場を出た。街の広場に出るとうわっと歓声が上がった。 


「決闘だ! 決闘だぞ!」


「おう! 武具をもってこい!」


 などという叫びが上がり、野次馬が街中から集まってくる。なんだか大騒ぎだ。ヘスティリアは目を丸くするが、ヴェルロイドもガルデルも驚いていない。決闘、特に国の方針についての決闘はノルレアの街の人々に証人として見守ってもらうのが当然だ。それに決闘見物は街の住人にとって数少ない娯楽にもなっていたのである。


 なぜかエールの樽が引っ張り出されて酒盛りが始まる。焚き火を熾して干し肉を炙り始める者もいる。そこここで勝ち負けを対象にした賭博まで始まる始末だ。その中でヴェルロイドとガルデルは淡々と決闘のやり方を決める。


「お互い同じ重さの剣で良いな」


「ああ、かまわぬ。盾はどうする?」


「そうだな。お互い盾も持つか。鎧はないから、どちらかが手傷を負うか降参したら決着だな」


「一回決着で良いのか?」


「それで良いだろう」


 ガルデルが頷く。ヴェルロイドは簡単に剣を選んで手に取る。肘から指先くらいの長さの刀身を持つ短い剣だ。それと左腕に装着する丸い盾。服は普通のシャツとカーキ色のズボンで、足元は皮のブーツだ。靴底には滑り止めの鋲が打ってあるので、踏み固められた土の広場で滑る事はないだろう。


 ガルデルの方も同じような装備だ。短めの剣と盾。もちろん実戦でも使える刃の付いた剣なので、場合によっては怪我では済まない事態になるだろう。


 ただ、ヴェルロイドもガルデルも慣れた感じで剣を試し振りなどしていた。二人とも決闘は初めてではないし、お互いの技量も大体分かっている。それと、この手の決闘で相手を大怪我させたり殺してしまったりするのは御法度だ。特に今回は決闘するのが領主と国の代表だ。国家間の大問題になってしまうだろう。


 しかし二人が向き合うと多くの野次馬が思わず黙るほどの緊張がピリッと走った。ヘスティリアも息を呑む。ガルデルが歯茎を剥き出しにするような笑い方でヴェルロイドを威嚇した。


「ゲーナウゼンの所の小僧がいつの間にか俺と決闘をする大きさになるとはな! 俺に勝てると思うなよ?」


 ゲーナウゼンはヴェルロイドの父親で先代のアッセーナス辺境伯である。彼とガルデルは交流があり、ヴェルロイドの事も子供の頃から知っていたのだ。


 ヴェルロイドはニヤッと笑う。


「そちらこそ、俺に勝てると思うわぬ事だ。ガルデル、其方もいい歳なのだから、そろそろ引退せよ」


「ぬかせ」


 ガルデルが吠えて、決闘が始まった。二人は左腕の盾を上げて、その右に突き出すようにして剣を構える。そして相手の向かって右へと回り込むように動きながら近付いて行く。


 ガルデルも歳の割には機敏な動きだ。姿勢を低くしてヴェルロイドの動きを窺っている。


 ヴェルロイドの方は猫のような柔らかな足捌きで、やはり身を低くしてガルデルの剣を避けるように向かって右方向へと回り込んで行く。動きに緩急を付けてガルデルの挙動を乱そうとしているようだ。


 そしていきなり、ヴェルロイドが動いた。鋭く踏み込んで剣を突き出す。ガルデルはその剣を盾で弾くとヴェルロイドが引くのに合わせて剣を出した。ヴェルロイドはしかし、ガルデルの想定を超えたバックステップでこれを逃れる。一瞬の攻防に観衆から歓声が上がる。


 うーん、二人とも凄い。ヘスティリアは感心する。


 彼女の育った南方にも決闘の文化はあったが、そこでは当人ではなく奴隷を代理として戦わせるのが普通で、その場合はどちらの奴隷も別に戦闘の専門家ではないため、結構な泥試合になってしまう事が多かったのだ。ちなみに北方には奴隷を身の回りで使う事はない(鉱山などの重労働に使役する)。


 なのでこれほど高レベルな決闘を、ヘスティリアは初めて目にしたのだった。特にヴェルロイドの動きのしなやかさ、美しさには目を奪われた。ガルデルの動きは直線的だが、ヴェルロイドの動きは柔軟で、それでいて鋭かった。


 様子見的な攻防がしばらく続いた。それでお互いに相手の動きと技量を見切っていたのだろう。そしてヴェルロイドが今までと違う動きを見せる。


 「シュッ!」と息を切ると踏み込んで一気に突進して、剣を思い切り振り下ろしたのだ。ガルデルは当然、盾でこれを受ける。ギャリン! と金属がぶつかる音がした。


 その次の瞬間、ヴェルロイドはその長い足を伸ばしてガルデルの足を踏んづけた。


「!」


 ガルデルはヴェルロイドから距離を取ろうと、後ろに飛び退こうとしていたところだった。そこを足止めされてバランスを崩す。同時に、ヴェルロイドは肩でガルデルの盾に体当たりした。


 ガルデルは仰向けにひっくり返った。そこにヴェルロイドが飛び掛かってのし掛かる。ガルデルは慌てて身を起こそうとしたものの、その時にはガルデルの顔の前に剣が突きつけられていた。


「……参った。降参だ」


 ガルデルが悔しそうに言って、ヴェルロイドがニヤッと微笑んだ。ヴェルロイドの勝利である。


 ヘスティリアはヴェルロイドのあまりにも鮮やかな勝ちっぷりに驚いたのだが、周辺の野次馬達もやはりヴェルロイドの強さに驚いたようだった。なにしろガルデルは決闘の強さで(もちろんそれだけではないが)ノルレア国の代表にもう十五年も居座っている男なのだ。それを造作もなく組み伏せたのだからノルレア国の者達の驚きも当然だ。


 ヴェルロイドが手を伸ばしてガルデルを引き起こす。ガルデルは苦笑していた。


「まったく。少しは手加減しろ。年寄りを労われ」


「もちろん、十分に手加減はしたぞ?」


 ヴェルロイドが嘯くと、ガルデルは不満そうに鼻息を吐いた。


 実は、こういう決闘は芝居の側面が強いのだ。これは当たり前で、今回の場合、ガルデルが勝つとヘスティリアの提案は否決されてしまう事になる。そうなると、交易商人のルートはこれまでと変わらない事になり、アッセーナス辺境伯領もノルレアも問題が何も解決しないことになるだろう。


 このため、この決闘を行うと決めた時からヴェルロイドが最終的に勝つ事は決まっていたのである。ただし、それでは面白くないため、二人はある程度は本気で戦い、勝敗を着ける時のみ八百長するという事を暗黙の内に取り決めたのだった。


 しかしヴェルロイドの力とスピード、そして技量がガルデルを遥かに上回った為に、意外なほど早い一方的な決着になってしまったのだ。ガルデルとしては負ける予定だったとはいえ、小僧だと思っていたヴェルロイドに完封されたのだから悔しい結果になったのである。


 野次馬はやんやの大歓声をヴェルロイドに浴びせた。ヘスティリアも婚約者を出迎える。


「お疲れ様でした。おかげで話が上手く進みそうです」


「ふむ。勝者には女神のキスが欲しい所だな」


 ヘスティリアは首を傾げる。


「女神がどこにいますか?」


「君で良い。ほら」


 ヴェルロイドが身を屈めて顔を近付けてきたので、ヘスティリアは仕方なく、それでも高い位置にあるヴェルロイドの頬にエイっとキスをした。少しだけ彼の汗の匂いがした。


 ヴェルロイドはなんだかご満悦であったが、ヘスティリアにはなんで彼が喜んでいるのかはさっぱり分からないのだった。


 その後、ヘスティリアとガルデルは集会場に戻り、改めて協議を行なった。


 ノルレアの街からオルイールの街に続く街道の整備は結局アッセーナス辺境伯領側で行うことになった。これは単純に、街道を整備する技術者と人手がノルレア側に無いからである。


 街道の中間地点に築く宿泊設備はノルレア側、というよりガルデルが自分の村から資産と人を出して運営する事にする。ここはなにしろ街道で唯一の宿泊施設になるため、上手く運営すればかなりの儲けが見込まれた。


 街道の警備はその宿場を境にしてアッセーナス辺境伯領とノルレア国で各々受け持つ。国境はかなり曖昧なので、宿場を境にすることにしたのだ。野盗が出ればガルデルの宿場が危うくなるから、ノルレア側も治安維持に真面目に取り組む事だろう。


 街道の整備をする、という布告をこのノルレアの街に掲示する事も決まった。それだけで交易商人はオルイールの街へ向かうルートを試す気になるだろう。それが定着するかはオルイールの街が交易商人にとってどれほど快適になるかによるだろうが。


 そうして一泊して他にも様々な事を取り決めた上で、ヘスティリアとヴェルロイドは帰国の途に就いたのだった。なかなか有意義なノルレア行きになったとヘスティリアはホクホクしていた。


  ◇◇◇


 馬車の中で向かいに座るヴェルロイドはヘスティリアを見ながら複雑な気分だった。


 どうも今回の旅行で、ヴェルロイドはヘスティリアの色々な魅力に気が付いてしまったような気がするのだ。それまでは食事の時以外はあまり会話もしたことが無かったのに、今回の旅行中は寝る時以外はずっと一緒だったのである。それは今まで知らなかったヘスティリアの事がよく分かるようにもなるだろう。


 何より、ヴェルロイドはヘスティリアの美しさに気が付いてしまったのだった。実はヴェルロイドはヘスティリアよりも背がかなり高く、ヘスティリアが前髪で顔を隠している為に、彼女の顔があまり見えていなかったのだ。


 しかし今回、頻繁にヘスティリアがヴェルロイドを見上げたおかげで、彼女の深い紫色の瞳の輝きとか、整った顔の造作、滑らかな輪郭、そしてコロコロよく変わる表情や麗しい微笑みがよく見えて、ヴェルロイドは彼女が実は類希な美人であることにようやく気が付いたのだった。


 気が付いてしまうと気になるのは、そのもっさりした亜麻色の髪だ。艶がなく、前髪が長過ぎる。この髪型がもう少しなんとかなれば、彼女の美しさはもっと際立つだろうに。


 ヴェルロイドはそう思いながら、半分以上無意識に、馬車の中で正面に座るヘスティリアの頭に手を伸ばしてしまった。


「ここをこう……」


 そう言いながらヴェルロイドがヘスティリアの頭に触れる。驚いたヘスティリアが頭を後ろに引いたので、ヴェルロイドの指先がヘスティリアの髪に引っ掛かってしまった。


 すると、ヘスティリアの頭がずるっと「取れた」。


「な……!」


 流石のヴェルロイドが驚愕する。彼が慌てて手を引くと、絡まったままだったヘスティリアの亜麻色の髪に引っ張られて、彼女の頭が完全に「外れて」しまった。


 そしてその「頭」の下には艶やかに輝く緑色の塊があった。


 「頭」がカツラである事にヴェルロイドはすぐに気が付いた。どうやらヘスティリアはカツラを被っていたらしい。そしてその下から現れたのは、ショートカットに整えられた緑色の髪だったのである。この髪がヘスティリアの本来の髪色なのだろう。


「イヤッ! 何するんですか! 返してください!」


 ヘスティリアが叫んでヴェルロイドの手に引っ掛かっていた亜麻色のカツラを奪うと、慌てて無理やり頭に被り直した。もっとも、カツラは被るだけでは元には戻せない。まして貴婦人の髪型には鏡の前で慎重にセットしないと戻らないだろう。


 それでもヘスティリアは抑え付けるようにカツラを被ると、ヴェルロイドを睨んだ。ヴェルロイドは呆然と呟いた。


「カツラだったのか……」


「ウィッグと言ってください! 別に! 珍しくはありませんでしょう? ウィッグぐらい!」


 確かに貴族夫人がオシャレの為にウィッグを被るのは良くある事だ。髪色を変えたり、奇抜な髪型をするために使うのだ。


 しかし四六時中、日常生活においてもずっとウィッグを被りっぱなしというのはあり得ないだろう。ケーラからの報告にもそんな話はなかった筈だ。


 となると、彼女は完全に髪色を周囲の人から誤認させるために、侍女の前でさえもウィッグを被り続けていたと考えられる。その目的はなんだろうか。


 一番考えられるのは他人を装う事だ。つまり、彼女はヘスティリアを装った別人だと考えられるのである。


 そこからは「交易商人の娘ヘスティリアを他人が偽装した」「貴族の養女になったヘスティリアを誰かが偽装した」「ヴェルロイドの婚約者になったヘスティリアを他人が偽装した」という三パターンが考えられる。一番考えられるのは、貴族の養女になったヘスティリアを妬んだ誰かが入れ替わったというシナリオだろうか。


「君は誰だ?」


 そんな事を考えながら問いを発したヴェルロイドに、ヘスティリアはなんとか髪型を整えようと必死に手で漉きながら言った。


「私は私ですよ。私はヘスティリアです。このウィッグは、生まれた時から被っているんです」


「生まれた時から?」


 ヴェルロイドは驚くが、ヘスティリアは普段よりもよく見える紫色の瞳でヴェルロイドを睨みつつ言う。


「南方では、その、緑色の髪は不吉だとして忌み嫌われるのです。それで、父親が隠すために被っていろと」


 幼少時、覚えている限りの昔から、ヘスティリアはこの色のウィッグを被っていた。はるか南の暑い街などでも、父親は彼女にウィッグを脱ぐことをけして許さなかった。


「その呪われた色の髪を他人に見せたら、殺されるかもしれないぞ」


 とざんざんに脅かされたものだ。それでヘスティリアは我慢して、ずっとこのウィッグを身に付けて髪色を偽っているのだった。


 ……確かに緑色の髪というのは珍しいが。ヴェルロイドは思い起こす。そういえば何度か見たような、見なかったような程度しか思い出せない、珍しい髪色である事は確かだ。


 しかし、緑色の髪が不吉という話は、ヴェルロイドの記憶にはなかった。おそらく南方のみの言い伝え、迷信なのだろう。


「安心せよ。北方のこの辺りには緑の髪が不吉だなどという話はない。それに」


 ヴェルロイドは大きな手を伸ばしてヘスティリアのウィッグを奪ってしまった。


「ああ! 何をするの!」


 ヘスティリアが悲鳴を上げるが、ヴェルロイドはウィッグの下から現れた緑色の、不思議な艶を放つ髪を見詰める。確かに、変わった色ではある。しかし……。


「綺麗な色ではないか」


 ヴェルロイドが言うとヘスティリアは目を丸くした。すっかり露わになった整った相貌に、若干動揺しながらヴェルロイドは言った。


「そのような美しい、髪を隠しては勿体無い。北部に来たのだからこんなものはもう外してはどうかな」


「綺麗な色だと、思いますか?」


 ヘスティリアは恐る恐る言った。


「その、私も綺麗な色だと思っているの。でも父さんが『呪われた色だ』というものだから……」


 ヘスティリアは実は、自分のこの髪色が結構好きだったのだ。


 しかしながら父親は「絶対に他人に見せてはならない」と厳命し長く伸ばすことも許されなかった。ヘスティリアはいつしか、この緑の髪は恥ずべきもの、醜いものだと考えるようになっていたのだが……。


「ああ、綺麗だと思うぞ。伸ばしたら、もっと見栄え良くなるであろう」


 ヘスティリアは感動で胸が一杯になった。この髪色を、認めてくれる人がいるなんて! ずっと自分を偽り、不満を溜め込んでいたヘスティリアにとって、このヴェルロイドの言葉は本当に嬉しいものだったのだ。


 ヘスティリアはこの時初めて、ヴェルロイドのところに嫁に来て良かった、と思った。それくらい緑の髪を認めてもらえた事は彼女にとって大きな出来事だったのである。


「じゃぁ、外すわね。もう被らないわ!」


「ああ、そうすると良い」


 ヘスティリアとヴェルロイドは初めて心が通じ合った気分で微笑み合ったのだった。


 突然髪色が変わって、侍女のケーラはびっくり仰天になってしまったが、この地方では緑の髪についての言い伝えなど無かった事から、特に問題は起こらなかった。ケーラも「珍しいし綺麗ですね」と言ったし、同行した護衛の兵士たちも誉めた事で、ヘスティリアは自分の髪色に自信を取り戻したのだった。ヘスティリアは喜びのあまり叫んだものだ。


「北部に来て良かったわ!」


 これならもしかして帝都でも緑の髪のままでも平気かしらね? とヘスティリアはご機嫌な気分で思ったのだった。


 が。


 オルイールに帰り着き、留守番をしていたハイネスがヴェルロイドとヘスティリアの帰りを出迎えた。


 のだが。ヴェルロイドに丁重にエスコートされて馬車を降りたヘスティリアの姿を見て、ハイネスは肝を潰してしまったのだった。

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