瓶詰めのエメラルド

人魚の歌には魔法が宿る。その喉の肉を喰らわば、終わることのない永遠の命を得るだろう──。

そんな伝承を信じた人間に乱獲され、二百年前に絶滅したはずの人魚の生き残り・エメリナ。
彼女は生まれた頃から貴族の屋敷に囚われていたが、ある日屋敷に忍び込んだ吟遊詩人・ジゼに盗み出されたことで、外の世界へと連れ出されてしまう。

ジゼは人魚を売って金にしようと考えていたのだが、いざ彼女を売ろうと店を巡っても、「人魚なんているわけない」と詐欺師扱いされてしまい、結果的に売れ残ったエメリナの面倒を自分で見る羽目になる。

地上では声が出ず、ヒトの体温で火傷してしまう孤独な人魚。
その〝商品価値〟を守るため、行く先々でトラブルに巻き込まれながらも、ジゼは大事な商品であるエメリナを傷付けないよう奮闘するのだが、…続きを読む