概要
戦後と現代を繋ぐ一枚の絵――その絵の謎を解いた先に感動の結末が
戦後に焼け野原となった東京上野で、清嶺貞春は頼れる仲間とともに時代の荒波にもまれながらも懸命に生きていた。
様々な人の助けを受けながら、時に出会いと別れを経験して少しずつ大人へと成長を遂げていく。
一方で瑞鳳苑の社長の息子である清嶺春彦は就職を間近に控えてもなお、自堕落な大学生活を送っていた。
夏休みに帰省すると父親に癌が見つかり、人手不足のために働くことになるのだが蔵の清掃を頼まれて開かずの内部に足を踏み入れると、そこで一枚の油絵を見つけることに――。
長い時間を経て、一枚の絵が止まっていた時を動かす――。
様々な人の助けを受けながら、時に出会いと別れを経験して少しずつ大人へと成長を遂げていく。
一方で瑞鳳苑の社長の息子である清嶺春彦は就職を間近に控えてもなお、自堕落な大学生活を送っていた。
夏休みに帰省すると父親に癌が見つかり、人手不足のために働くことになるのだが蔵の清掃を頼まれて開かずの内部に足を踏み入れると、そこで一枚の油絵を見つけることに――。
長い時間を経て、一枚の絵が止まっていた時を動かす――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!或る人生の物語
戦後と現代を軸に、やがて物語は糸を織るように合わさってゆきます。
Web小説でなかなか読めないものを提供して下さる一人、きょんきょん氏。今回も期待を裏切らない作品でした。
2つの時代を生きるそれぞれの主人公が、ふとした偶然の重なりにより、思いもよらぬ形で邂逅します。
ただ毎日を生きることも、ままならなかった戦後の上野。人生まさしく一期一会とも言うべき、出逢いと別れの繰り返し。必死で掴もうとするも、為す術なく糸がバラバラに解けてゆく絶望。最後に遺された一縷の望み。
毎度綿密な裏付けによる、細やかな描写に唸らされますが、今回の戦後表現は特に鮮烈なものがありました。
あの絵が、そして激動…続きを読む - ★★★ Excellent!!!匂いまでもが伝わってくるほどの緻密な描写
大河ドラマで見るような、戦後の光景から物語は始まります。
その場の空気や匂い、温度までもが伝わってくる緻密な描写に圧倒されました。
すえたどぶ川に、血と硝煙と、人々の汗のにおい。
まるでその時代を思い返しながら描かれたような重厚さです。
登場人物が本当に存在していたかのようで、思わず検索で調べてしまったほどです。
物語は現代にも飛びます。こちらはよく知るライトな光景で、少し肩の力が抜けます。
戦後パートから移動すると、タイムスリップでもさせられたかのような戸惑いと共に、空気の軽さと清浄さにほっとさせられます。
一枚の絵を巡り、戦後と現代を行き来する物語。
人々の命を強く感じました。