匂いまでもが伝わってくるほどの緻密な描写

大河ドラマで見るような、戦後の光景から物語は始まります。
その場の空気や匂い、温度までもが伝わってくる緻密な描写に圧倒されました。
すえたどぶ川に、血と硝煙と、人々の汗のにおい。
まるでその時代を思い返しながら描かれたような重厚さです。
登場人物が本当に存在していたかのようで、思わず検索で調べてしまったほどです。

物語は現代にも飛びます。こちらはよく知るライトな光景で、少し肩の力が抜けます。
戦後パートから移動すると、タイムスリップでもさせられたかのような戸惑いと共に、空気の軽さと清浄さにほっとさせられます。

一枚の絵を巡り、戦後と現代を行き来する物語。
人々の命を強く感じました。

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