舞台は1997年の四国。
霊場八十八ヶ所を巡るお遍路旅に出た主人公と友人キヨ。
その旅の目的は「遍路X」と呼ばれる正体不明の女を見つけること。
「遍路X」は白の遍路装束姿で、やせ細った体に長い髪を乱した不気味な姿をしており、その手には人間のものと思われる手首も持っているという……
ここまでだとホラーか?と思いそうですが、ここから主人公たちが巻き込まれていく事件、過去に起こった悲惨な事件が組み合わされていき、物語はミステリー感をどんどんと増していきます!
そしてホラーにオカルト、全ての謎を論理的に紐解いていく解決編!
読み終わった後に「ほうっ…」と溜め息が出ることでしょう( ´∀`)
オカルトミステリーの傑作!
しかし、これは人が人を想う、哀しい愛の物語でもあるのです……
作者様の現在における最高到達点となる作品!
是非ともご一読くださいませ!
オカルティックな「遍路X」の噂の真相を解き明かそうと、四国に出かけた主人公モリ―とその友人キヨくん。その旅がもたらしたものはキヨくんの無残な死でした。モリ―は彼の死に打ちのめされ、しばらく廃人のようにアパートに閉じこもります。そこにやって来たのは、遍路の旅で知り合いになった作家の庭さんでした。庭さんはモリ―にもう一度四国へ行こうと誘い、キヨくんの死の謎を解明するためにモリ―はその提案に応じます。
って、これはほとんど作品概要に書かれている内容なのですが、これを見ただけで、ミステリ好き、ホラー好きの人なら飛びつきませんか? おいしいにおいがプンプンです。ちなみに、コメント欄を拝見する限り、作者さまは実際に四国の歩き遍路をご体験されているようです。四国を自らの足で一歩一歩踏みしめていく場面の臨場感も納得がいきます。
丁寧で丹念な描写には安心感があり、次へ次へといざなわれていくこと間違いなしです。モリ―とキヨくんの性格の対比、ひとりで暗い四国を歩くモリ―の孤独と恐怖、無邪気さが前面に出たキヨくんの行動、庭さんの穏やかな雰囲気、どれもが心地よく読み手を本作品へと没頭させてくれます。
ホラー要素満載の前半は、ところどころ叫びだしたくなるほど怖いです。そこから謎解きへとつながってゆき、モリ―は真相へと徐々に近づいていきます。
ミステリという性格上、詳細を語れないのがもどかしいです。そうですね、第三話、第三話まで読んでみてください。そこまでに、この作品の魅力の多くが詰まっていますから。
四国の遍路道に現れる女「遍路X」の噂を聞きつけ、主人公のモリーとその友人のキヨは四国を訪れ、実際に遍路を歩くことになる。
ジャンルは「ホラーミステリー」だが、そこに旅行記的な楽しみが付加されたのが当作品である。序盤の導入を終えて、早速遍路の旅に出る主人公たちであるが、遍路を旅する道中の描写がとにかくワクワクするし、とても興味深いものとなっている。
ご存知だろうか?
お遍路には、「お接待」文化というものがあって、旅人に食べ物や飲み物、時にはお金まで分けてくれる風習があるらしい。しかも、接待して「あげる」ではなく、お接待「させてね」という言い回しをするのだそうだ。なんと素晴らしい文化なのだろうか。読んでいて胸が熱くなった。
その他にも、お遍路にまつわる豆知識が随所に散らされていて、興味を引くこと請け合いだ。
前半はホラー色が強く、オカルト系の話が好きな人には刺さると思う。
対して後半はミステリー色が強くなり、隠された真実が明らかとなっていく。
「ホラー」「ミステリー」「旅」これらのワードが好きな人には、ぶっ刺さるのではなかろうか。
もしこのレビューを読んで興味を引かれたのなら、是非読んでみてほしい。