概要
世界は、そして人々の営みは、彼の目に如何に映るのか――なんてハードボイルドに語っていますが、基本は旅日記です。
4つの旅で、計6カ国からお届けします。
全40話、約11万字の予定。
※物語上の殺人はフィクションであり、現実の殺人を容認・正当化する意図はありません。
※お仕事の場面に、すこしだけ痛みを感じる描写があります。たいていの方は平気だと思いますが、苦手な方はご注意ください。(サブタイトルに「仕事」と記しています)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!職業殺し屋の綴るハードボイルドな紀行文
カクヨムの中でもこのタイプの小説はかなりレアだと思います。
世界から依頼を受ける凄腕の(特殊能力のある)殺し屋。
殺し屋が登場する小説は、それなりに多くあると思いますが、小説の主旨は『世界の車窓から』とあるように、紀行文なのです。
それも、トルコ、ブラジル、チェコ、マレーシアなど、国名は知っているけど、行ったことのある人は多くはないだろうという国の、絶品グルメを食レポのように綴っていく。
しかも、アングラな職業の性質上、非常に硬派で、漢字の使い方1つで、ぐっと引き締まったハードボイルドな紀行文なのです。
作者様は、各国のグルメのみならず人々の文化や生活習慣をかなり緻密に調べておられ、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!殺し屋さんが車窓から見る世界は、悲哀と優しさと美味しさに満ちている
殺し屋が世界各地のグルメを食す。
殺しとグルメ。なんとも奇妙な組み合わせです。
そのグルメというのがとても美味しそうで、応援ハートを押したら目の前にその料理が出てきてくれないかな!と思わずにはいられないほどのクオリティーで書かれています。
ズバリ、飯テロです。特に肉料理が多いので、肉好きの方は空きっ腹で読んではいけません。
さてこの殺し屋さんですが、特殊な才能を持っています。ですが彼は、好き好んで人を殺しているのではありません。殺めた人物よりも、殺し屋の方が死を体感しています。殺し屋は死を繰り返しているのです。
だからこそ、彼は食べるのでしょう。
美味しいものを腹一杯に食べる。
それは生きて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!殺し屋さんとめぐる世界紀行——孤独のグルメと歴史と文化、そして死生観
どこか古風な語り口の殺し屋さんが、お仕事がてら世界各国の旅模様を綴っていく紀行文です。
トルコにブラジル、チェコ・オーストリア、そしてマレーシアやシンガポール。
これらの国々にゆかりのある方はもちろん、行ったことがないという方も、その場の空気感まで肌で味わえるような作品になっています。
一番目を引くのは、やはりグルメでしょう。
健啖家でもある殺し屋さんが、料理やお酒やスイーツまで、あらゆる名物を食べ尽くします。
また、その国の歴史や民族間の問題、特徴的な気候や建造物など、読むだけで勉強になること間違いなしでしょう。
しかし観光ばかりもしていられません。殺し屋さんは殺しのお仕事で来ているの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『彼』ゆえの観点で語られる人・歴史・文化――そして食。至極の旅日記
自身の持つ特殊な能力ゆえに、自ら罪と捉える殺人を生業とする主人公。
そんな不本意な仕事で赴く世界各地で、彼は目にした情景を語り、触れた人情を語り、その背景となる歴史と文化を語ります。
硬質な筆致が活き活きと描き出すそれらは、自然と映像が目に浮かぶほどに鮮烈です。
「仕事」では依頼者の切実な想いに全力を尽くして応えるという姿勢を堅持する彼は、自分自身をもどこか突き放し、俯瞰しているような視点の持ち主です。
ゆえにその語りは、ときに旅日記の範囲を超え、人類というものの考察にまで至ります。
一方で、そんな生真面目さを伺わせる彼が、訪れた地にめいっぱい五感を浸し、眼前に供された料理を存分に味わ…続きを読む