こちらの作品は二つの世界、現代と閉鎖された村、2つの場所での物語が展開されていく物語です。
一つは少子化が進んだ日本の近未来的な現代社会、そしてもう一つは閉鎖された結婚の概念がない文明が発達していない村。序盤はこの世界が交互に進んでいきます。
2つの世界それぞれから目が離せない展開に、いつの間にか吸い込まれるようにのめり込み、ノンストップ状態から始まるこの作品。
次第に明かされていくそれぞれの世界の真実に、序盤から叫びたくなりました。
その展開に、きっとかなり驚かれる人は多いのではと思います。
その序盤を大いに大興奮してほしい!!この体感をぜひ味わってほしい!!という想いが一つと、後半にかけて広がっていく暖かな人間ドラマにもぜひ注目していただきたいです。
二つの世界が交差する時、それぞれの場所で暮らす人達が何を味わい、何を取り戻すのか。現代の社会問題を取り上げたテーマにもとても共感を覚えました。
ミステリー色も強く、読者自身も謎を解きながら読み進めていけるのも大変面白い部分でした。大勢の方々にぜひおすすめしたい作品です。
とにかく読んでみてください。すごく面白いです。絶対に損はしません。
ストーリー自体の面白さはもちろん、構成の見事さや対比表現の妙、匂い立つように瑞々しい描写に痛みを伴うほど胸に刺さる言葉の数々。散りばめられた伏線や痺れる仕掛けに唸らされること請け合いです。
内容については、書きたいことが多すぎて長文になるし興奮して激しくネタバレしそうなので、触れずにおきます。ただ、『号泣注意』とだけ。
それと、読了したら頭から読み直すことをお勧めします。私は面白すぎて二度…いや、本当は行きつ戻りつしてもう何度読んだのか不明なのですが、鳥肌もののカッコいいポイントがたくさんあって画面の前で悶絶しちゃいました。最初に読んだ時に見逃していたあれこれに気づいた時の快感が堪らんです。そしてやっぱり、目が腫れるほど号泣。
本当に凄い作品です。
子供は無力。だけど、勁い。頑張れ、楽園の(元)子どもたち。
まじで面白い。最高に面白い。くっそ面白い。語彙力失う面白さでした。
ミステリでもあり、サスペンスでもあり、人間ドラマでもある作品。全の章と一の章、二つが交互に展開されていきます。
全の章では、不思議な村を舞台にした七歳の少年・ユウマの視点、一の章では、警察局の生活安全課に勤務する女性・一ノ瀬の視点で描かれていく。全く異なる二つの世界がどう絡んでくるのか。
読み始める前は、視点が交互ということで読みにくいのかな?と思いましたが、全然そんなことはないです。作中の違和感が気になりすぎて、きっと続きを読みたくてしょうがなくなります。
ホラーではないはずなのに、鳥肌がたつような怖さもあり、めちゃくちゃハラハラしました。楽しすぎます。
家族とは何か、大切な人とは何か。全の章に出てくるユウマの心情の変化がすっごく胸に突き刺さってしんどいです。また、一ノ瀬がかっこよすぎて「いけー!やっちまえー!」と場違い感半端ないですが応援したくなります。
言いたいことはたくさんあるはずなのにネタバレになりそうなので、これ以上言えませんっ!
真実を追い求めた先に彼ら彼女らが見たものは、楽園か、それとも地獄か?変革を受け入れる覚悟はできているか?
さいっこうに面白い作品でした!ぜひ読んでみてくださいっ!
この作品の特徴は何と言っても二つの物語が並行して進んでいくところです。
絡み合いそうで、掛け違えたボタンのように付きまとう違和感。
それでも二つの物語は容赦なく謎と不思議な深みへと突き進んでいきます。
『全』のパートではカルト教団を思わせる不思議な村での生活が描かれます。
『一』のパートではディストピアに彩られた近未来の生活が。
およそ接点の離れたこの二つの世界、でも徐々に絡み合っていく様が素晴らしい。
そして二つ世界の接点が明らかになった時、物語はさらに加速し怒涛のラストへと雪崩れこんでいきます。
根底には少子化で緩やかな死を迎えている人間社会の問題点があり、家族の在り方、社会の在り方についての深い問題提起があるように思えます。
そんな深いテーマを物語という形できっちりと描くあたりに作者のすごさを感じました。
と、こう書くとなにやら硬派な作品を思わせるかもしれませんが、魅力的なキャラクターと次々に展開するストーリーに引きこまれることでしょう。
とにかく文章も読みやすく、語り口もよく、読み手をつかんで離しません。
これだけの作品、本当に書くのが大変だったと思います。
でもその価値がある作品だったと、読み終えた今、素直にそう思いました。
本当に面白くて素晴らしい作品です。
ぜひ読んでみて下さい。
二つの場所と二つの視点をうまく使ったギミックの効いたミステリアスなお話です!
舞台が近未来の日本のような感じで、SFっぽさもあります。
どうも我々の感覚では理解できない、不思議な掟を護っている村と、
我々と似たような場所で生きる警察官の主人公。
二箇所それぞれ、二つの視点で交互に描かれていく物語が、一点で結ばれた瞬間、物語は加速。読み手の感情も一気にヴォルテージが上がります。
え?10万字ありました?ってくらい一気読みしてしまいましたし、何より読みやすいです。
小説とか長々文章読むのは苦手だけど、ミステリーや謎解きは好きという人もけっこういると思うんです。
そういう人たちにもおすすめできるくらい、読みやすくて面白くて、すごく惹きつけられる作品です。
何だか眠れない夜とか、何かの待ち時間に一気読みなんていかがでしょう?
るうさんオススメです!
設定が秀逸でした。決められた掟に縛られる村に閉塞感を感じましたし、現在の日本が抱える問題を見据えた近未来の姿など、よく練られていてリアリティを感じました。二つの世界が平行して語られていきますが、あれこれと想像しながら読み進めるのは楽しい作業でした。
村で暮らす三人の子供たちを中心に物語は語られ、歪な村の姿が徐々に浮かび上がっていきます。一方、近未来の世界でも、自警組織に属する女性の前に謎めいた少女が現れて、事態が変化していきます。村でのお話は、どこか詩的で幻想的な文体であるのに対して、近未来の方は端的でリアリスティックなのも面白いし、上手いです。
二つの世界は交錯していき、後半にはドラマチックな展開が待ち受けていて、思いも寄らない事態に発展します。読む手が止まらず、ぐいぐいと読んでしまいますね。
テーマ性も深く、ラストも素敵な余韻が残りました。オススメです!
全の章と一の章が交互にすすんでいきます。
全の章は、あやしい閉鎖された村です。村の掟、祭、奇妙な雰囲気です。村の外を知りたくなる子供たちの気持ちは分かります。でも、それが恐ろしいことに……。
一の章は、対照的に近未来的です。
それら全く違う二つが交差します。見事な構成!
2度読んでも面白いです。
どんでん返しテーマにぴったりです。この作品に光を!
キャラもいいです。
かっこいい女性。憧れます。
勇敢な少年。感情移入して、激昂のシーンは壮絶です。
人間ドラマとしても見所満載です。感情表現うまいです。
タイトルのセンス。
文章がうまいので、状況が浮かんでくるようでした。
このクオリティをただで読めることに感謝!
感動!
とある閉鎖的な村がある。そこには、独特な風習を用いて生活する人々があった。
一方、犯罪が渦巻く、ほとんど機能停止した近代社会がある。
この作品はあらすじにもある通り、真逆な二つの世界が交互に綴られていくサスペンス、ヒューマンドラマです。最初こそ共通点のない分かれ道のようでした。しかし、物語が進むにつれて道は一本となる。
すべてが繋がる瞬間が快感であり、不快でもある。この物語の正体を掴んだら、まさにそうとしか言えない。
どうしてそうなったんだろう、正解はなんだったんだろう、どこで間違えたんだろう。彼らの感情に激しく突き動かされます。それでもなお、彼らは立ち向かう。
私の悪い癖は、あらすじから先に物語の内容を読み解こうとするところです。そして、こういう類の物語が大好物です。
しかし、そんな悪い癖で読みながらも、楽園の秘密が明かされたシーンはワクワクし、物語を夢中で読み貪っていた子どもの頃を思い出しました。
それと同じく、物語に出てくる村の子どもたちは好奇心旺盛で、村の「外」を知りたがる。知らない方が幸せなことも確かにあるでしょう。できれば知りたくなかった側面や真実を思いがけず目の当たりにしたら、ショックで言葉も出ません。それからどうやって生きていけばいいのかわかりません。
これは、そんな楽園で生まれた子どもたちの、子どもたちによる救済の物語。意思は確実に受け継がれていき、それがたとえ真っ暗闇な答えでも、迷っても、道はいつか開けるはず。
ぜひ、ご一読を。ぜひ、一気読みしてください。
「一の章」と「全の章」が交差し合う構成は、他の方も書かれている通りです。
ネタバレ防止でやんわりした書き方になってしまいますが、後半で謎が明かされるのを見るうち、ここで描かれている世界はファンタジーと言い切れるか、と思った人は多いと思います。
ルールに縛られることはルールに安住することでもあるし、無力な存在の声なんて聞かずに抑圧してしまうほうが手っ取り早い。
ごく普通の大人の持つ怖さが、巧みにプレゼンされた作品だと感じました。
いくつも引かれた伏線が回収されていく終盤は鮮やかです。
どんでん返し部門にぴったりの作品だと思います。
交互に描かれる、二つの別々の世界。
何の繋がりもないように見えた二つの世界ですが、両方にそれぞれ不穏の影が落ちるや、引き合うように繋がり始めて……?
と、このような感じで紡がれていくストーリー。
何を言ってもネタバレになりそうなので多くは語れませんが、まさか! そうくる!? こんなことになるとは!! の連続技による怒涛の展開に、目が離せなくなりました。
痛みや悲しみや遣る瀬無さに揺さぶられつつ迎えるラストに待っているのは、切なくて優しくてあたたかな絆。
この物語に出会えて良かったと、心から思います。
一気読み、全力推奨です!!
『全の章』はとある村、しかも何だか不思議な風習がある村のお話。
『一の章』は国家が財政破綻し、地方自治で運営される、どちらかと言うと現代に近い場所でのお話。
まるで違う『全の章』と『一の章』で起こる出来事を読みては交互に見ていくことになります。
少しずつ『全の章』の内容が『一の章』に出てきて、それを推理しながら読むのが面白かったです。
交互に読みつつも最終的に一つの物語に集約されていくところが心地よくさえありました。
ミステリ好きに特にオススメな一作です。
一気読み推奨とのことでしたが、時間のあるときに少しずつ読み進めました。
なかなか印象に残るお話が続くので、案外前のエピソードが記憶に残っていて、問題なく読めました☆
ちょっとずつ読む派の人でも楽しく読めると思います。
面白いです!
可能であれば一気読み推奨です☆
一見、何の絡みもなさそうな二つの視点で二つのエピソード、二人の主人公でパラレルに物語が進行しますが、実は密接に関わり合っていて予想外の展開に動いていきます。
パズルが組み合わさるように謎が解けていき、すべての伏線が回収されるかのように物語は一つに収束して、かつ衝撃のラストはいかに!?
「楽園の子どもたち」というタイトルですが、現代の日本の少子化問題のなれの果てのディストピアを、詳細に鮮明にそしてどこかおどろおどろしく描かれており、どこかリアルで、その対比が妙にシニカルです。
すべてがネタバレになりそうで、内容についてはぜひご自身の目で確かめてみてください!
読みやすさも文章の表現力もピカイチです! オススメです!
この物語は、ふたつの異なる世界が交互に描かれています。
片方は、掟に支配され、文明を拒絶した世界。なにか息のつまる「村」です。すごく小さなコミュニティーという印象です。
こちらの主役はユウマという少年。自分よりすこし年上のチィ姉ちゃんに仄かな憧れを抱いています。
もうひとつは「街」です。まるで近未来のような世界。でも、科学技術が進歩している印象はまるでなく、高齢化ばかりが進んでいます。国家が崩壊していて治安が悪く、なんとも息苦しい。
こちらの世界の主役は、警察局につとめる女性、一ノ瀬。男勝りです。
「村」に住むユウマは、好奇心から、チィ姉ちゃんたちとともに村の秘密に触れてしまい、そこから少しずつ何かが狂い始めます。
一方、「街」の警察局に勤める一ノ瀬は、保護された身元不明の美少女を事情聴取するうち、相棒の佐伯のおかしな行動に突き当たります。
最初は無関係に見えた、ふたつの世界のふたつの事件。これが回を追うごとに、徐々に関連性を持ちはじめ……。
冒頭から始まる、もやもやした感覚。何かがすこしずつ傾き、崩れていく予感。そして始まる崩壊のとき。
ディストピアな終末を描いた黙示録的世界を本作に期待した人は、ちょっと肩透かしをくらうかもしれません。
本作の主題がなんであるかはちょっと難しいのですが、でも、読んでいて、先に進めば進むほど、ぼくは登場人物の「家族」というものを強く意識しました。
彼らに与えられている家族はどれも作られた物で、自然に生まれたものではない。
だが、そんな中で彼らは、自分が一緒にいたいと思う人を見つけます。
住んでいる世界を囲む高い高い壁の下に掘られた、深い深い穴を抜けて、自分が本当に一緒に居たいと思う人を見つける。そんな物語でした。
「何も知らない」ではいられなかったでしょう。
イヴが楽園の果実を知ったように。
地域に根差す祭りをきっかけに、子どもたちは或る異変に気付きます。
気付いてしまったら、もう引き返せません。
「思い出さず」にはいられなかったでしょう。
自分が子どもで在ったころを。
近未来、少子化が進み政府が破綻して自治体により管理される社会。
自警組織に勤める大人が、或る子どもの記憶に関わっていきます。
読み始めたとき、ふたつの「章」の境界は確かにあります。
読み進めるうちに境界が見えなくなるかの如く、ふたつの「章」が合わさります。
異なる線の上と思われた出来事が、ひとつの線の上に集められていく過程が実に見事で、小説という媒体をエンターテインメントとして此処まで高められるのだと、感慨深く拝読しました。
『楽園の子どもたち』というタイトルが香らせる場所。
永遠のディストピアなのでしょうか。それとも……。
登場人物たちが過去に想いを馳せる時、浮かび上がる思い掛けない「どんでん返し」と、其処に至るまでの物語の交差と収斂を、ぜひ多くの方に味わっていただきたく思います。
警察局局員・一ノ瀬は、ある日保護された身元不明の少女・知里と出会う。
その出会いは、彼女の想像を超える、ある未知なる社会との遭遇の始まりだった――。
生き生きとしたキャラクターたちによって進められていく、色鮮やかなストーリー。
巧みな心理描写に導かれ、彼ら・彼女らに寄り添って読み進めるうちに、知らぬ間に読者も不思議な世界へと迷い込んでいきます。
そこは不思議な制度・掟に支配された世界。その在り方の理由とは?
キャラクターたちの動きを追いながら、この社会の利点不利点問題点などが、徐々に浮き彫りになっていきます。
人間にとって、最も大切なものは何か。
改めてじっくりと考えたくなる、読み応えある作品です。
困った。
拝読後、感動のあまりレビューボタンを押したのだが、書きたい事が多すぎる。
だが、下手に書くとこのお話を読む方の楽しみを減らしてしまう。
そんな理由から私は敢てストーリーには触れず、この物語の筆者、陽澄すずめさんの描く子供たちの魅力の一部分について書きたいと思います。
『純粋だけではない子供』
誤解があるかもしれませんがすずめさんの描く子供たちの魅力を一言で表現するなら一番合う言葉はコレだと思います。
歪み、嫉妬し、欲望し、そして焦がれる。その幼さゆえの眩いばかりの葛藤がファンタジーでミステリーで冒険小説で恋愛小説で描かれてゆきます。
そんな魅力的な子供たちの出てくるこのお話を皆さんも読んでみてください。ミステリーであり、ファンタジーであり、冒険小説であり、恋愛小説であり、現代小説でもある。このお話を!
この物語は家族の概念がない「単家」の世界と、自治区の世界が交互に描かれることによって、謎が深まり、そして解決していく物語だ。
「単家」とは、一つの「家」の単位であり、家族や結婚の概念がない。周期ごとに人間が家を移動して、一つ屋根の下で暮らす。しかしお転婆なチィは、村から追放された「追放者」に「結婚」や「家族」について聞き出そうとしていた。弟分のユウマは、いつもチィに手を引かれていた。そして兄貴分のセイジは、そんな二人をいつも守ってくれた。しかし、ある祭りで禁忌を犯したチィは、蔵の中に閉じ込められる。ユウマとセイジは、チィを助けようと奔走し、セイジは村を支配している「教師」になることを決意する。
一方、自治区ではチサトと名乗る少女が保護された。保護を任されたのは、一ノ瀬と佐伯のバディだった。チサトは何もしゃべらなかったが、思い出したかのように、「ホウジョウサイ」という言葉を発し、「兄ちゃんが村を壊そうとしているから、助けて」と一ノ瀬に訴える。しかし、そんな中、佐伯が失踪する。
佐伯の失踪の謎。チサトの正体。そして「単家」と禁忌とは?
二つの世界観が同時に味わえる贅沢な作品。
民俗学的な要素を持つ村の世界と、自治区の世界。
いずれも興味深く、そこに組小細工のように謎が散りばめられる。
そして物語は疾走感を失わずに、全ての伏線を見事に回収して、感動的なラストに向かっていく。
まさに、まさかのどんでん返し。
是非、是非、ご一読ください!