概要
◆全の章◆
『結婚』、『家族』という概念の存在しない閉鎖的な村には、いくつもの掟があった。
その村に住む少年ユウマは、大好きなチィ姉ちゃんに手を引かれて掟を破ってしまう。そのことは、二人とセイジ兄ちゃんだけが知る秘密だった。
年に一度ある大人だけの祭を覗き見た三人は、村の仕組みに疑問を抱き始め——
◇一の章◇
極端な少子化により国家が財政破綻し、地方自治で運営される社会。
自警組織『第三十八自治区警察局』に勤める女性・一ノ瀬は、同僚の佐伯とともに自治区内で保護された謎の美少女・知里の身元を調べることになる。
知里からうまく身辺情報を聞き出せずにいるうち、なぜか佐伯
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!現代社会と閉鎖された村、2つの世界が交差する興奮と感動の物語。
こちらの作品は二つの世界、現代と閉鎖された村、2つの場所での物語が展開されていく物語です。
一つは少子化が進んだ日本の近未来的な現代社会、そしてもう一つは閉鎖された結婚の概念がない文明が発達していない村。序盤はこの世界が交互に進んでいきます。
2つの世界それぞれから目が離せない展開に、いつの間にか吸い込まれるようにのめり込み、ノンストップ状態から始まるこの作品。
次第に明かされていくそれぞれの世界の真実に、序盤から叫びたくなりました。
その展開に、きっとかなり驚かれる人は多いのではと思います。
その序盤を大いに大興奮してほしい!!この体感をぜひ味わってほしい!!という想いが一つと、後半に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!祈るような気持ちで読みました。どうか、彼らの未来に光が満ちますように。
とにかく読んでみてください。すごく面白いです。絶対に損はしません。
ストーリー自体の面白さはもちろん、構成の見事さや対比表現の妙、匂い立つように瑞々しい描写に痛みを伴うほど胸に刺さる言葉の数々。散りばめられた伏線や痺れる仕掛けに唸らされること請け合いです。
内容については、書きたいことが多すぎて長文になるし興奮して激しくネタバレしそうなので、触れずにおきます。ただ、『号泣注意』とだけ。
それと、読了したら頭から読み直すことをお勧めします。私は面白すぎて二度…いや、本当は行きつ戻りつしてもう何度読んだのか不明なのですが、鳥肌もののカッコいいポイントがたくさんあって画面の前で悶絶しちゃい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!真実を追い求めた先にあるのは、地獄か楽園か?
まじで面白い。最高に面白い。くっそ面白い。語彙力失う面白さでした。
ミステリでもあり、サスペンスでもあり、人間ドラマでもある作品。全の章と一の章、二つが交互に展開されていきます。
全の章では、不思議な村を舞台にした七歳の少年・ユウマの視点、一の章では、警察局の生活安全課に勤務する女性・一ノ瀬の視点で描かれていく。全く異なる二つの世界がどう絡んでくるのか。
読み始める前は、視点が交互ということで読みにくいのかな?と思いましたが、全然そんなことはないです。作中の違和感が気になりすぎて、きっと続きを読みたくてしょうがなくなります。
ホラーではないはずなのに、鳥肌がたつような怖さもあり、めちゃく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とても面白く、読み応えたっぷりの物語でした。
この作品の特徴は何と言っても二つの物語が並行して進んでいくところです。
絡み合いそうで、掛け違えたボタンのように付きまとう違和感。
それでも二つの物語は容赦なく謎と不思議な深みへと突き進んでいきます。
『全』のパートではカルト教団を思わせる不思議な村での生活が描かれます。
『一』のパートではディストピアに彩られた近未来の生活が。
およそ接点の離れたこの二つの世界、でも徐々に絡み合っていく様が素晴らしい。
そして二つ世界の接点が明らかになった時、物語はさらに加速し怒涛のラストへと雪崩れこんでいきます。
根底には少子化で緩やかな死を迎えている人間社会の問題点があり、家族の在り方、社会の在り方…続きを読む - ★★★ Excellent!!!謎解きがお好きな方にオススメです!
二つの場所と二つの視点をうまく使ったギミックの効いたミステリアスなお話です!
舞台が近未来の日本のような感じで、SFっぽさもあります。
どうも我々の感覚では理解できない、不思議な掟を護っている村と、
我々と似たような場所で生きる警察官の主人公。
二箇所それぞれ、二つの視点で交互に描かれていく物語が、一点で結ばれた瞬間、物語は加速。読み手の感情も一気にヴォルテージが上がります。
え?10万字ありました?ってくらい一気読みしてしまいましたし、何より読みやすいです。
小説とか長々文章読むのは苦手だけど、ミステリーや謎解きは好きという人もけっこういると思うんです。
そういう人たちにもおすすめ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!点と点が繋がって、線となった時
設定が秀逸でした。決められた掟に縛られる村に閉塞感を感じましたし、現在の日本が抱える問題を見据えた近未来の姿など、よく練られていてリアリティを感じました。二つの世界が平行して語られていきますが、あれこれと想像しながら読み進めるのは楽しい作業でした。
村で暮らす三人の子供たちを中心に物語は語られ、歪な村の姿が徐々に浮かび上がっていきます。一方、近未来の世界でも、自警組織に属する女性の前に謎めいた少女が現れて、事態が変化していきます。村でのお話は、どこか詩的で幻想的な文体であるのに対して、近未来の方は端的でリアリスティックなのも面白いし、上手いです。
二つの世界は交錯していき、後半に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!全く異なる二つの章が交わるとき、恐ろしい事実が!
全の章と一の章が交互にすすんでいきます。
全の章は、あやしい閉鎖された村です。村の掟、祭、奇妙な雰囲気です。村の外を知りたくなる子供たちの気持ちは分かります。でも、それが恐ろしいことに……。
一の章は、対照的に近未来的です。
それら全く違う二つが交差します。見事な構成!
2度読んでも面白いです。
どんでん返しテーマにぴったりです。この作品に光を!
キャラもいいです。
かっこいい女性。憧れます。
勇敢な少年。感情移入して、激昂のシーンは壮絶です。
人間ドラマとしても見所満載です。感情表現うまいです。
タイトルのセンス。
文章がうまいので、状況が浮かんでくるようでした。
この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!楽園の秘密を知った子どもたちは、それでもなお
とある閉鎖的な村がある。そこには、独特な風習を用いて生活する人々があった。
一方、犯罪が渦巻く、ほとんど機能停止した近代社会がある。
この作品はあらすじにもある通り、真逆な二つの世界が交互に綴られていくサスペンス、ヒューマンドラマです。最初こそ共通点のない分かれ道のようでした。しかし、物語が進むにつれて道は一本となる。
すべてが繋がる瞬間が快感であり、不快でもある。この物語の正体を掴んだら、まさにそうとしか言えない。
どうしてそうなったんだろう、正解はなんだったんだろう、どこで間違えたんだろう。彼らの感情に激しく突き動かされます。それでもなお、彼らは立ち向かう。
私の悪い癖は、あらすじか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ファンタジーと言い切れない、かもしれない怖さ
「一の章」と「全の章」が交差し合う構成は、他の方も書かれている通りです。
ネタバレ防止でやんわりした書き方になってしまいますが、後半で謎が明かされるのを見るうち、ここで描かれている世界はファンタジーと言い切れるか、と思った人は多いと思います。
ルールに縛られることはルールに安住することでもあるし、無力な存在の声なんて聞かずに抑圧してしまうほうが手っ取り早い。
ごく普通の大人の持つ怖さが、巧みにプレゼンされた作品だと感じました。
いくつも引かれた伏線が回収されていく終盤は鮮やかです。
どんでん返し部門にぴったりの作品だと思います。