ファンタジーと言い切れない、かもしれない怖さ

「一の章」と「全の章」が交差し合う構成は、他の方も書かれている通りです。
ネタバレ防止でやんわりした書き方になってしまいますが、後半で謎が明かされるのを見るうち、ここで描かれている世界はファンタジーと言い切れるか、と思った人は多いと思います。
ルールに縛られることはルールに安住することでもあるし、無力な存在の声なんて聞かずに抑圧してしまうほうが手っ取り早い。
ごく普通の大人の持つ怖さが、巧みにプレゼンされた作品だと感じました。
いくつも引かれた伏線が回収されていく終盤は鮮やかです。
どんでん返し部門にぴったりの作品だと思います。

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