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- ★★★ Excellent!!!アラビアの千の夜の如く、千光年の銀河を駆ける星語りをご照覧あれ
銀河の最果ての最終処分所を預かる「博士」のもとに、一人の青年が流れてきた。彼は助けてもらったお礼を兼ね、星々で集めてきた「星語り」を披露するのですが、そこにはなにやら思惑もあるようで――。
いくつかの短編形式のお話が連なるSFのお話です。いわゆるアラビアン・ナイト方式ですね。かのシェラザード姫は暴虐の王を鎮める事を企み千もの話を紡ぎましたが、今作の「私」も千光年の銀河を旅して集めた星にまつわるお話、「星語り」を博士に披露していきます。
不思議な星々で繰り広げられるどの星語りも、ちょっとほろ苦くて、少し感傷的なんです。SFはSFでもセンチメンタルでファニーなストーリーが次々と語られていくん…続きを読む - ★★★ Excellent!!!奇妙な星語りの虜になること、間違いなし
読み始めた時は短編連作なんだ、と思って冷静に読んでたんです。
でも途中から、あっと驚く展開になり、それからは毎日の更新が楽しみな作品の一つとなりました。
短編は別々の関係のない話しと思いきや、とんでもない。
全ての伏線を回収してラストまで持っていきます。
その手腕たるやお見事です。
他の方も書いておられますが、圧巻、それしか言いようがないです。
短編自体も不思議で奇妙なおとぎ話のようで、正に「センチメンタル・ファニー・ストーリーズ」です。
私はこちらの作者様の別作品の大ファンですが、本作品も素晴らしかった。
不思議な話の虜になること、間違いなしです。 - ★★★ Excellent!!!SFと書いてセンチメンタル・ファニーと読む
これは、七つの星語り。一つ一つバラバラのようでいて、実は繋がる。
そう、本当は遠い星々の姿が、地球から見れば近く、そして星座として結ばれるかのように。
感傷的で、奇妙で、そして切ない。
圧巻、ということばで簡単に言ってしまって良いのかは分からない。分からないがしかし、相応しいのはこの言葉であるように思うのだ。
この感傷的で奇妙な物語群は、最後どのような姿を見せるのか。あなたにはどのような姿に見えるのか。
人とは愚かな生き物である。そんなことばがある。
けれども人は人であるがゆえ、立ち止まっても振り返っても、少しづつでも前へと進んでいくのでしょう。
ぜひご一読ください。 - ★★★ Excellent!!!サイエンス・フィクション? いいえ、センチメンタル・ファニーです。
いや、ちょっと、表題からしてセンス良すぎません?
この物語はSFですよ。サイエンス・フィクション [ Science Fiction ] つまり、空想科学小説。そこへ来てセンチメンタル・ファニー [ Sentimental Funny ] を宛て、しかも物語全体をつらぬく情緒を端的に表すだなんて……好き!(語彙力)
吟遊詩人が歌う、恋愛詩が如き"星語り"。主人公の星語りによって、物語は進んでいきます。
一見すると無関係とも思われる星語りが、奇妙に絡み合ってもう一つの物語を浮かび上がらせる構成が見事。全体をつらぬく主題に、「人の想いというものは、ひた向きであればあるほど第三者には滑稽…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人々の憎しみも愛も詰め込んだ缶詰と星語りの行く末は
タイトルの通り、感傷的で奇妙な7編の物語が散りばめられた作品です。
流星群屋内待機指示〈星休み〉の避難を受け入れてもらったお礼として、惑星缶詰循環工場の責任者〝博士〟に「星語り」を披露することになった〝私〟。
星を巡り、星と人の声を聴いて語るという生業の〝私〟の「星語り」は一体どのようなSF(センチメンタル・ファニー)を聴かせてくれるのでしょうか。
一語りを読み終えた直後から、誰もが〝博士〟の言葉に大きく頷き、彼と一緒に一喜一憂して物語を楽しむことになるでしょう。厳つそうな顔をして恋バナ大好きな〝博士〟。可愛い〜。
まったく異世界的な物語もあれば、身近にありふれていそうな現代カッ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!滑稽なほどに切なく愛おしい、行き違う人の心の生々しさを切り取った幻想譚
SFと書いて『センチメンタル・ファニー』と読む、その造語がこれ以上なく腑に落ちる物語だと感じました。
銀河の最果てたる惑星缶詰循環工場にめぐり着いた男が、そこの責任者である博士に〈星語り〉を聞かせるという体裁で綴られていく、連作短編集です。
物語を通して、宮沢賢治の作品のオマージュがそこかしこに散りばめられています。
しかし〈星語り〉にはどれもオリジナリティがあり、その登場人物だからこその唯一無二の感傷が描き出されていきます。
些細なことで行き違ってしまう人と人との心。
ちょっとした運命のいたずらで二度と戻らなくなってしまった関係性。
きっと誰しも、幸せを、愛を求めていただけなのに、誰の…続きを読む