人々の憎しみも愛も詰め込んだ缶詰と星語りの行く末は
- ★★★ Excellent!!!
タイトルの通り、感傷的で奇妙な7編の物語が散りばめられた作品です。
流星群屋内待機指示〈星休み〉の避難を受け入れてもらったお礼として、惑星缶詰循環工場の責任者〝博士〟に「星語り」を披露することになった〝私〟。
星を巡り、星と人の声を聴いて語るという生業の〝私〟の「星語り」は一体どのようなSF(センチメンタル・ファニー)を聴かせてくれるのでしょうか。
一語りを読み終えた直後から、誰もが〝博士〟の言葉に大きく頷き、彼と一緒に一喜一憂して物語を楽しむことになるでしょう。厳つそうな顔をして恋バナ大好きな〝博士〟。可愛い〜。
まったく異世界的な物語もあれば、身近にありふれていそうな現代カップルのお話もあったりします。でもそこはSF(センチメンタル・ファニー)ですから。一筋縄ではいきませんのでお楽しみに。
〝博士〟と一緒にキャッキャッウフフ(だけじゃないですが)と楽しんでいたはずなのに、徐々に交わり一本に繋がっていくストーリーがとても気持ちいい。上質な連作短編集でもあり、長編としてもしっかり成り立っており一度で10度くらい美味しい作品です。
こんなに素敵でそれでいてお得感満載の小説、なかなか出会えないですよ。ぜひ味わってみてくださいね。