アラビアの千の夜の如く、千光年の銀河を駆ける星語りをご照覧あれ

銀河の最果ての最終処分所を預かる「博士」のもとに、一人の青年が流れてきた。彼は助けてもらったお礼を兼ね、星々で集めてきた「星語り」を披露するのですが、そこにはなにやら思惑もあるようで――。

いくつかの短編形式のお話が連なるSFのお話です。いわゆるアラビアン・ナイト方式ですね。かのシェラザード姫は暴虐の王を鎮める事を企み千もの話を紡ぎましたが、今作の「私」も千光年の銀河を旅して集めた星にまつわるお話、「星語り」を博士に披露していきます。

不思議な星々で繰り広げられるどの星語りも、ちょっとほろ苦くて、少し感傷的なんです。SFはSFでもセンチメンタルでファニーなストーリーが次々と語られていくんです。

作者お前登場人物たちをなんて目に合わせるんだ!と思いつつも読み進めて行くうちに、あまたの星たちの1つにすぎなかった星語りたちが、次第に連なってくるのです。そして――。

銀河のようにたくさんのお話の中からこのお話を、この作者を目にしたそこのあなた。是非、お立ち寄りください。そして、アラビアの夜の一族(アラビアン・ナイト)にも負けず劣らない、銀河の騎士(ギャラクシアン・ナイト)のものがたりを是非。

だってね、面白いんですよ。

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