概要
青白く光る満月が浮かぶ夜空の下、俺は一人呟いた。
村に蔓延る物の怪から大切なものを守るため、御言と秋彦は動き出す。
夏の村の昔話。
(『親友はこっくりさん』の過去の話になります)
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!少年と神の物語「美しい気味悪さ」を味わって欲しい
山の神に助けられた少年御言は、神の言葉を村人に伝える役目を果たすことになった。
だが神は、恐ろしいものを村人に要求するようになってしまう。
少し昔の、神や呪いが人々の暮らしと繋がっていた時代の物語です。
御言はとても優しい少年で、神の為に犠牲になる人がおり、自分がなんの助けにもならないことをとても気に病んでいます。
自分の身に悲しい出来事が起こったにもかかわらず、人を思う優しい少年。
生々しい描写、神と人の心の動き、その後ろに見え隠れする何かがあり、とても気味が悪い。ホラーの醍醐味とも言えるその「気味の悪さ」が情緒溢れる文章で描かれています。
まだ完結に至らない時にこのレビューを書い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人と神の狭間で揺れる。
ある村に、一つの神話があった。村が異形のモノたちに脅かされた時には、神様に巫女を捧げて祈ること。そうすれば、神様は村を守ってくれる。巫女たちも栄誉に預かれる。
そんなある村に、主人公である一人の青年がいた。神と村人の仲介役の役目を果たす彼は、神の言葉を村人に伝えていた。村人は神様に供物を捧げ、その代わりに神様は村を守ってくれた。こうして、村の平和は守られ、平穏な日々が約束されたいた——はずだった。
ある時、再び異形の存在が村に近づき、主人公は神様に巫女を要求される。巫女になることは村では栄誉あることとされていた。巫女は村の中でも若い女性が選ばれた。しかし、いつの頃からか、神様は巫女を……続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヒトが禁忌を犯し、神は邪に堕ちる。雁字搦めの小鳥は何処かへ飛べるか
御言は山の神様に命を助けてもらう代わりに、村人たちに神様の言葉を伝える役目を与えられる。頼まれたことは何でもしなくてはならない、ここでの話を忘れてはいけない。神様は御言にそう語りかけるのだった。
しかし、村は優しく穏やかなことばかりではない。御言は決意する。大切なものを守るため、底の見えぬ闇へと進むことを。
優しく不思議で、どこか残酷な昔話から物語は始まります。その世界観と同じく、ヒトと、ヒトならざるものが共存する村は、ほんわかと優しくも恐ろしく、悍ましく、不穏がつきまといます。
神とヒトとの間で苦悩し、己の無力さに葛藤する御言。与えられた役目を背負い、自分自身の手で全てを守ることを背負っ…続きを読む