山の神に助けられた少年御言は、神の言葉を村人に伝える役目を果たすことになった。
だが神は、恐ろしいものを村人に要求するようになってしまう。
少し昔の、神や呪いが人々の暮らしと繋がっていた時代の物語です。
御言はとても優しい少年で、神の為に犠牲になる人がおり、自分がなんの助けにもならないことをとても気に病んでいます。
自分の身に悲しい出来事が起こったにもかかわらず、人を思う優しい少年。
生々しい描写、神と人の心の動き、その後ろに見え隠れする何かがあり、とても気味が悪い。ホラーの醍醐味とも言えるその「気味の悪さ」が情緒溢れる文章で描かれています。
まだ完結に至らない時にこのレビューを書いていますが、御言少年がたくましく成長し、この「気味の悪い何か」に打ち勝つのを望んで止みません。
ある村に、一つの神話があった。村が異形のモノたちに脅かされた時には、神様に巫女を捧げて祈ること。そうすれば、神様は村を守ってくれる。巫女たちも栄誉に預かれる。
そんなある村に、主人公である一人の青年がいた。神と村人の仲介役の役目を果たす彼は、神の言葉を村人に伝えていた。村人は神様に供物を捧げ、その代わりに神様は村を守ってくれた。こうして、村の平和は守られ、平穏な日々が約束されたいた——はずだった。
ある時、再び異形の存在が村に近づき、主人公は神様に巫女を要求される。巫女になることは村では栄誉あることとされていた。巫女は村の中でも若い女性が選ばれた。しかし、いつの頃からか、神様は巫女を……。
そして、主人公の存在をよく思わない存在がいた。村長だ。自分の村なのに、主人公と神様が崇められ、自分の立つ瀬はない。そう思ったのだろうか。村長は明らかに呪術的な力を持って、主人公に抗うようになった。そして、巫女を選出するくじ引きの際にも、村人の心を弄ぶかのような言動を見せる。
そんな中、また怪異が村を襲おうとしていた。村人を守る役目の主人公は、人間と神様の板挟みになって苦しむ。
果たして、主人公は村を救うことが出来るのか?
神様の正体とは?
村を襲う怪異とは?
謎に満ちた閉鎖的な村を舞台に、恐ろしい現象が起こる!
ホラーが好きな方は必見!
是非、御一読下さい。
御言は山の神様に命を助けてもらう代わりに、村人たちに神様の言葉を伝える役目を与えられる。頼まれたことは何でもしなくてはならない、ここでの話を忘れてはいけない。神様は御言にそう語りかけるのだった。
しかし、村は優しく穏やかなことばかりではない。御言は決意する。大切なものを守るため、底の見えぬ闇へと進むことを。
優しく不思議で、どこか残酷な昔話から物語は始まります。その世界観と同じく、ヒトと、ヒトならざるものが共存する村は、ほんわかと優しくも恐ろしく、悍ましく、不穏がつきまといます。
神とヒトとの間で苦悩し、己の無力さに葛藤する御言。与えられた役目を背負い、自分自身の手で全てを守ることを背負った彼の行き着く先は、やはり地獄なのでしょうか。
物語はこれからもまだまだ動くところと思います。
加えて、一話ずつが読みやすいですし、『親友はこっくりさん』の過去の話とありますが、こちらの作品だけでも楽しめると思います。
今からでも追いつけますので、是非、まずは表紙を捲ってみてほしいです。オススメです!
※第31話までを読んでのレビューです。