異世界に召喚された主人公・試神。しかし彼を待っていたのは「魔法を使えない」という残酷な事実。転生者たちが魔法に歓喜する中、「召喚者は劣る」と言われ不合格の烙印を押されてしまう。
だが、その「欠陥」こそが彼の武器だった――
魔法使いには猛毒となる濃密な魔力。その中で唯一働ける存在として、謎多き青年タタンにスカウトされる試神。だが施設を狙う転生者たちの襲撃が迫り、タタンの「チュートリアルだから安心」という言葉にも不穏な影が……
魔法が使えない弱点を、どう強みに変えていくのか。タタンの真意は何なのか。そして襲撃の真相とは――?
設定の逆転が光る、新感覚異世界ファンタジー開幕!
世界設定が個性的で秀逸な本作。
説明もロジカルで、なるほど、異世界(異球)はそういう成り立ちなのね、ときちんと納得させてくれます。
よくある異世界で魔法がある世界ではありません。
火を出してー、水出してー、岩出してー、ではありません。それは是非読んで堪能していただきたい!
とにもかくにも、「そうきたかー!」が多いのがこの作品の魅力です。
毎話、読んでいて、ついつい、唸ってしまう。
固有魔法の設定が一つ一つユニークで面白く、そして、よく練られているのです。次はどんな魔法が出てくるかな?とワクワクします。
キャラクターも皆それぞれ抱えているものがありそう。まだ、出尽くしてなくて、主人公でさえ謎に包まれている部分があり目が離せませんよ。
地球とよく似た異世界「異球」に召喚された神羅試神。
彼は魔法も使えず、転生者たちのような特別な力も持たない。だがその「無力さ」こそが、この世界では唯一の才能だった。
濃密な魔力が毒となる環境で、彼だけが生きられる——その事実が、彼の運命を大きく動かしていく。
この物語は、主人公の試神が謎めいた人物、タタンとの出会いをきっかけに、「選ばれなかった者」としての道を歩み始めるとことから始まる異世界ダークファンタジー。
この世界の華やかな魔力の裏に潜む謎・・・。
静かな日常と苛烈な真実が交錯する中で、彼は自分なりに在意義を見つけていく。
派手な無双も奇跡の力もない。
それなのに、ひとたび事件が起きればハラハラし、読む手を止めることができない面白さがある。
試神という主人公の確かな言葉と選択によって、この世界に少しずつ影響を与え、彼のまっすぐな性格がこの世界の人々の心に足跡を残していく——そんな知的で骨太な異世界譚!
本作は「転生」ではなく「召喚」を選んだ主人公・神羅試神を軸に、常識を裏切る展開を次々と叩き込んできます。
自分の体と名前を捨てることを拒み、あくまで“自分のまま”異世界に降り立つ。ここから既に、従来の転生ファンタジーとの差別化が際立っています。
また描写の緩急も秀逸です。穏やかな会話劇から一転、苛烈な惨劇の場面では目を覆いたくなるほど生々しい。けれどその残酷さが「転生」という仕組みの歪みを際立たせ、物語全体を強烈に印象づけています。
お決まりの“チート無双”どころか、転生という仕組みそのものを疑い直させるほどの衝撃。
第一章ラストまで読めば、きっとあなたも「この先どうなる!?」と続きを追わずにはいられないはずです。
本作は題名詐欺。そう思っても、むしろ良い意味で。
作者様は本人が1ジャンルという人で、諧謔と狂気と暴力に満ちた攻撃的(褒め言葉)小説を続けて発表していらっしゃいます。
本作も、作者様が「異世界転生」を独自に解釈して組み立て直したオリジナリティが出色です。
転生。今では手垢がついた言葉が新しい意味を持って生まれ変わります。
ですから最初に申し上げました。普通の「異世界転生」作品として売り出すのは題名詐欺ですと。
それで、物語はハードボイルドどころではありません。先ほど申したように誌面(画面?)を諧謔と狂気と暴力が埋め尽くします。後を追うだけで知的体力が必要です。ヤワでないです。
みなさま、この世界で生き残れますか?
いや、読む分には死にませんから、みなさま読んでください、お願いします~~~