ヨークシャー・ムーアの駒鳥

多感な頃に踏んだイングランドの地。
石造りの町、羊が点在する草原には、今でも憧憬を抱いている。

本作はそのイギリス、黄金期ながらも時代変化も漂う空気の中で奮闘する一人の女性を描いたものである。
時代小説を多く書くという著者の筆は、当時の雰囲気を堪能させてくれる。

常識や人間関係、それに対する葛藤や挫折。
ロビンの視点を通して感じられる物事は、旅行では味わえないリアリティにあふれている。

そうして浮き彫りにされていくのは、いつの時代も変わらぬ心理。
鮮やかな自然の描写と相まり、いっそう尊いものに感じられた。

主人公は不運が続いていた女性です。

そんな女性を救ってくれる、素敵な紳士が現れます。
なつかしい感じのする美しい田園風景の中で、物語はゆっくり進んでいきます。

登場人物たちの気持ちが丁寧に書かれていて、物語に引き込まれます。

特に紳士、フレデリックさんの気持ちの描写にひかれます。

おすすめです。是非、読んでみてください。

主人公は、時代の波に呑まれ、自尊心を擦り減らしてしまった女性・ロビン。
そんな彼女が、自分と、そして周囲の人々と向き合い、自分を取り戻していく物語です。

描写が秀逸で、時代の空気感や風景の美しさが伝わってきて、読者を物語の中へ誘ってくれます。
迷いながら生きる全ての人に届いてほしい、そんな優しい物語。

—— 19世紀の英国を舞台にしたハートウォーミングな恋物語


仕事がない、お金がない、温かい家庭がない……追い詰められ擦り切れ、すっかり自分に自信がなくなってしまったロビン。

そんな彼女に、歳若い紳士フレデリック・イングリスが手を差し伸べます。

そしてロビンは彼の領地ヨークシャーへ。

自尊心をすっかり無くし、卑屈になっていたロビンは、ヨークシャーの豊かな自然や温かい人々と触れ合うなかで少しずつ本来の自分を取り戻していきます。

情景描写も読みどころな、美しいイギリスの田園風景の中で繰り広げられる、恋と癒しと成長の物語✨

オススメです。是非読んでみてください。

まず特筆すべき点は、物語に没頭させるだけの高い筆力を持っている作品であることです。

少し卑屈な主人公ロビンがガヴァネスとして求職するものの雇い先が中々見つからない、という鬱屈としたところからお話は始まります。
そんな折、容姿端麗な男性イングリス氏と出会い、彼の優しさが次第にロビンの心を溶かしていきます。

心情描写がしっかりとされており、話が進むごとに変化していくロビンの心が丁寧に描かれています。
二人の距離が少しずつ縮まっていく様が手に取るようにわかり、読むたびに温かな気持ちになりました。

嫌味なキャラクターもおらず、全体的な雰囲気は優しげで安心して読み進められます。
たくさんの方に読…続きを読む

主人公のロビンは誇りを守り、自立して生きたいと願う女性。
しかし、物語の舞台となっているヴィクトリア朝イギリスにはその方法は家庭教師しかなく、ロンドンには家庭教師は溢れている――。

ままならぬ状況、誇りを傷つけられた過去、かたくなになった心、それでも生きなければと顔を上げようとする主人公。
そんな彼女に、突然「家庭教師になってほしい」と声をかけたのは、イングリス准男爵。
しかし、屋敷には子どもはおらず、イングリスの真意は不明。なぜロビンは雇われたのか……。

時代の価値観を織り込んだ主人公の心理描写は胸に迫り、また、丁寧な風景描写はヨークシャーのマナーハウスへと読む者を誘います。

レビュ…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（176文字）