美しい文章で描かれる恋愛模様

まず特筆すべき点は、物語に没頭させるだけの高い筆力を持っている作品であることです。

少し卑屈な主人公ロビンがガヴァネスとして求職するものの雇い先が中々見つからない、という鬱屈としたところからお話は始まります。
そんな折、容姿端麗な男性イングリス氏と出会い、彼の優しさが次第にロビンの心を溶かしていきます。

心情描写がしっかりとされており、話が進むごとに変化していくロビンの心が丁寧に描かれています。
二人の距離が少しずつ縮まっていく様が手に取るようにわかり、読むたびに温かな気持ちになりました。

嫌味なキャラクターもおらず、全体的な雰囲気は優しげで安心して読み進められます。
たくさんの方に読んでいただきたいと思わせるほど、完成された作品です。

その他のおすすめレビュー

椎野 紫乃さんの他のおすすめレビュー76