本格的なSFなんですが、根本に流れるのはヒューマンドラマかな? と思える小説です。
いや、これはやっぱりSFじゃないですね、ヒューマンドラマかなぁ…‥。それくらい最後のシーンは泣けるのです。もう、最終話の最初500文字で涙腺が崩壊します。ほんと、それくらいいい感じなのです。
ということで、この小説のご紹介。前述のとおりSF設定の世界観ですが、どちらかというと読み味は現代ドラマかな? それくらいキャラが立ってる気がする小説です。でも、読み味は、地の文が多いわりにあっさりとしている不思議な小説です。
えっと、この物語のテーマは主人公の成長。支えてくれる人の尊さ、人を信じる心のすばらしさ。そんなものがぎゅっとこの小説には詰まっています。そして読み進めるうちに自然と心が温かくなっていき、最終話でそれが一気に爆発する感じかなぁ。ほんと、最後のシーンがいいのです。こんないいラストシーンみたの、ほんと久しぶりでした。この小説は是非最後まで読んで欲しい。そんな気持ちでいっぱいです。
この作品は近未来のお話であり、非常に練り込まれた設定のSFなのですが……。
SF的なガジェット満載のバトルシーンは迫力がありますし、もちろんそこも魅力の一つなのですが本質はそこに無い気がします。
主人公の永遠は引きこもりで対人恐怖症な超内気な少年です。
物語の前半は、そんな主人公を献身的にサポートしてくれる美少女瑠璃乃ちゃんのおかげで、少しづつ永遠が救われていく展開となります。
お話が進むと徐々にその関係が変化していき、なけなしの勇気を振り絞った永遠が暗闇から瑠璃乃を救ってあげるようにもなっていきます。
いろんな試練を乗り越えながら、二人が真のパートナーになっていく過程がとても感動的で、胸をうちます。
とてもすんなりと物語の世界に入り込める作品でした!
主人公が初見でポツリと呟いたと思ったらその後もさらに口にするあたり「そこに」目が釘付けになったのだろうな・・・と!
そしてSFということで構える必要はまったくない作品に思えます!
魅力的掴みもさることながら、あらすじに作者様の配慮が見えており動線が読み手に可視化されているため、世界観と設定を拾いながらも物語を追いかける視線がブレることはありません!
ですが、視線はブレることはありませんが感情の揺さぶり方はとても・・・
随所で挟まる現実を口にするところは、主人公だけでなく読み手にもとても響き、主人公の背中をグイグイと押したくなる場面も・・・!
展開の緩急がとてもきっちりついているので、歯ぎしりしたくなる場面と、頬を緩ませて頬杖と共に眺めたくなる場面でとても差が激しく感じられるのも魅力といっていいでしょう!
すでに完結しており、私もこのレビューは完結後の余韻に浸りながらかいています。
この物語の主軸である弱者がどのような軌跡を残したのか、結末を迎えたのか、手掛かりになるようなレビューは書いていないはず・・・!
なので、ぜひともみなさんご自身の目で現代の弱者が戦う姿をみていただきたいです!
優しすぎる故の優柔不断と生まれもって背負った身体的症状に全てを諦めていた少年。そこへまるでカギと穴がピッタリ合ったかの様なSF的ハイファンタジーの出逢い。
突如顕れた奇跡の少女、反応思念体的な唯一無二の存在がどこ迄もトラウマを拗らす少年の絶望をすくい取ってゆく。
それでも根の深いネガティブをグズらせまくる少年。でも見方を変えればジレジレの恋愛物の変則型みたいなもので、それがやがて……
在りのままなのに互いを最高の存在にしてあげられる、そんな夢の世界を半分羨ましく思いながら、半分、もしかしたら自分の身の回りの大切な人たちも実はそれに近い存在なのでは、等と色々想いを巡らせる事に。
そして長大なクライマックスに浸れて。
心の弱さを憂う人こそ是非一読を。
希有な二人と一歩踏み出す勇気と爽快感、そうした優しい想いと思いやりに満ちた世界を見せてくれる作品です。