概要
畢竟、朝顔は人と同じである
東吾(とうご)は信濃の武家に生まれついたが、幼い頃に江戸へ養子に出される。しかし、子がなかった家に男児が生まれ、東吾はその義弟に跡を託して隠居する。何物にも縛られず、執着せず、気ままに生きる東吾は大枚に化ける変化朝顔を咲かせて生計を立てていた。そんな東吾を周囲は『朝顔師』と呼んだ。ある日、その東吾が通いで雇っていた下働きの老女、舟(ふね)が暇乞いをする。家事のできない東吾は、舟が後釜にと据えた娘を渋々受け入れるのだが――。
※小説家になろう様にも掲載中です。
※小説家になろう様にも掲載中です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「普通」に咲くのは難しい
物語の需要なモチーフとなっているのが変化朝顔。現代でも愛好家の多い、個性的な見た目を持つ朝顔です。それは一見して朝顔とは分からないことも。
武家の出でありながら朝顔を育てて暮らす東吾と、彼の元で奉公をすることになった謎めいた娘・清江。お互いに訳ありな二人の共同生活が始まります。やがて明らかになる清江の事情や、気楽に見えても出生に縛られている東吾、そんな彼らを取り巻く様々な家族の形。複雑に絡まり合った縁や出来事が朝顔に例えられ、見事に物語へと落とし込まれています。中でも素直に生きられない東吾と清江の姿は、まさに変化朝顔のようで……。
本人の力だけでは変えられない、「生まれ」の重みまで考…続きを読む