概要
検死官ロベルト・シュルツは、ヒューマノイドIV-11-01-MARIAに命じた。「絶対に生き延びろ」と。
ロボットの死因を特定する“ロボット検死解剖官”ロベルト・シュルツ。
彼はある日、恩師から一体の人間型ロボットを託される。彼女IV-11-01-MARIAを守り、育てる――それが恩師の依頼であった。
MARIAは違法なロボットだ。
見つかり次第、治安当局に回収されて殺される宿命にある。あらゆるロボットが人間に蔑まれながら使役されているこの社会で、シュルツは彼女を守り抜くことが出来るのか。何から守り、何と戦えばいいのか?
手探りで生きるシュルツとMARIAに、どんな未来が待っているのか……?
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!のちに書籍化した作家の初期長編SFです
私はこの小説をほんの数頁読んだ段階で気づいてしまった。私はこの小説に恋してしまったのだ。速読家の私が、誤字脱字を見つけられるような速度で一文一文を大事に読んだ。
途中、何度も胸が熱くなる場面があって、ティッシュの箱を手元に置きながら。
登場人物の全ては大人の魅力に溢れていて、ヒロインはかつて自分がどこかへ置き忘れてきた純真さで周りを動かしていた。息をつく間も無く事件が発生し、精緻で美しい文章がストーリーを紡いでいく。そしてラストは……。
なぜこれ程までに完成度の高い小説が書籍化もされずに燻っているのか。もしかしたら過去にそういう話があったのかも知れないし、時代の流れに合わないの一言で納得し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!懐かしい雰囲気漂うロボットミステリーの傑作
18章まで読んだところでレビューです。
懐かしい雰囲気ではあるのですが、理論とか技術的なものとかはもちろん今のSFです。ロボット3原則をテーマにして、ロボットの検視官と彼のところにやってきた人間と見分けのつかないロボットが、ミステリー要素満載で物語を強力に進めていきます。
個人的には完璧だと思います。SFのもつ雰囲気、ミステリーの謎解き、二人の生活で展開していくドラマ。そして落ち着いていながらとても読みやすい文章とストーリー展開。SFが苦手という人でもすんなりと読める作品です。
とにかくたくさんの人に読んでいただきたい作品だと思いました。 - ★★★ Excellent!!!ロボットと人間って、そんなに違うものですか?
まず、言いたいのがこの物語が非常に完成された小説だということです。市販で販売されていても遜色ない、そんな物語です。
ロボットを嫌い、あくまでロボットを機械として扱うドクターシュルツ。
ヒューマノイドとして、人間と変わらぬ……いやそれ以上に人間らしい仕草を見せるマリア。
頑なにマリアの言動、仕草、気持ちを否定するシュルツの心が今後どのように変わって行くのか。また、マリアの心をシュルツが認める日は来るのか。
読んで絶対に損はない凄く面白いお話だと思います。
是非皆様一読してみてはいかがでしょう?
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以下感想です。
マリ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!映画で観たい、は誉め言葉
と、言うのを先に伝えたい。
まず、この話はロボットを嫌悪する世界の話だ。余り書くとネタバレになるので書かないが。
シュルツ、マリア、ベイカー、クリス、登場する者は皆何とも生き生きとし、何よりそれぞれが傷と過去や事情を抱えていた。
個人的に好きなのはベイカーとレナーテだ。多分現実では一番合わなそうなのだけれど。
SFに詳しい者が読めばもしかしたらある程度、予想は付くかもしれない。けれどそう言うものは、気にならず次を読みたくなる話なのだ。
それはきっと魅力的な登場人物たちに感情移入するから。
シュルツ、マリアの葛藤。
クリス、ベイカーの悲哀。
トマス博士とヴォルフ局長の暗躍。
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