洞貝 渉

ロードバイクで疾走する二人の息遣いが聞こえてきそうな、一緒に足を動かしスピードを体感しているような、そんな錯覚を覚えるほど読んでいて夢中になりました。 ほの暗い現実がありつつも、…続きを読む

AIの隠し事と主人公がした決断のすれ違いが、物悲しくも力強い。 ネット内のアバターがそのまま現実化したような姿の人間が練り歩いている、という設定がおもしろかったです。 シリカの…続きを読む

どの古道具も使い用によってはとんでもない道具になりうるものばかりなのに、お客さんたちは手に取りながらも誰もそんなことには気づかない。店主も特に教えない。 静かで淡々とした文章の中…続きを読む

シュールで怪しい、どこか後ろ暗さのある幻想小説です。
人を選ぶ作品の数々ではありますが、ハマる人にはとことんハマる。

読書の秋の一冊に、いかがでしょうか？

雅で耽美だけど、適度にボケが入り、とても面白く読み進めることが出来ました。 異種族との、政の絡んだ特殊な環境下での恋愛話ですが、異種族間の感覚の違いや政がどこでどう絡んでくるのか…続きを読む

どこかノスタルジックな描写が続き、心地よく読み切ることが出来ました。
お盆も近づいてきたこの時期にぴったりな一作です。

謎解き系の物語は実は苦手意識があるのですが、非常にわかりやすくストーリーが組まれていてストレスなく読むことが出来ました。 オンラインゲーム『ＳＯＵＶＥＮＩＲ』の謎以外にも、徐々に見…続きを読む

社畜とファンタジーが違和感なく同居している……。
違和感はないけれど、そのギャップにじわじわ来ます。

少しずつ少しずつ状況が改善されて行く様子が、読んでいてほっこりとしました。 必要な時に必要な手を、差し伸べたり差し伸べられたりするのって現実では結構難しいことのように思います。 …続きを読む

どちらにも言い分があるにせよ、より恨みの深い方がより強い呪いをもつ。 そしてたいていの場合、より恨みが深いのは弱者とされるものの方。 すかっとする話では決してないけれど、 こんな…続きを読む

情報化社会、なんて言われるようになってどれくらい経っただろうか。 差別や偏見は未だになくならない。 わかることが増える、情報が増える、というのは同時に、それに関する正確な知識が必要…続きを読む

すっとんきょうな導入部から一気に惹き込まれ、気付いたら読み終えていました。
こんな作品の短編集を、紙媒体の文庫本でのんびりと読みたいです。

７人の証言から徐々に見えてくる、演劇部に起こった出来事。
……本当の舞台裏の主役はきっと、質問者だったんだろうな、なんて思いつつ。

おもしろかったです！

見事にミスリードさせられていました。
面白かったです。

型落ちになった人間に、（今はまだ）行く場所はない。

マルマーたちから見た人間の滑稽さというか、本末転倒さ加減が何とも言えない……。優秀なのか無能なのか、なんともバランスの悪いところがまた愛嬌なのか。そしてその愛嬌ゆえ危なっかしくて目…続きを読む

排他的な街の雰囲気と親のいない兄弟、それから化け物。 なにか起こりそうで、変化しそうで、それでいてこの町ではきっと通常運行なんだろうな、と思います。 まだまだ残暑の残る、寝苦しい夜…続きを読む

自分の時間の範囲内でなら未来がわかるようになった世界で、四年後に死ぬ少女が数百年という時間を持つおじいさんと交流するお話。 時間の譲渡をどうとらえるかで、優しさあふれるとも無情な…続きを読む

人間の都合でつくり出されたのにも関わらず、当の人間から理不尽な目にあわされるアニマルレイバーの存在には考えさせられましたが三池さんはモフモフです。 だからと言って腐るでもなく、理不…続きを読む

静謐な自然の中に身をゆだね、純粋な願いを抱くナトルとそれを許容する樹海。
どこか不思議な時間の中にすっぽりはまり込んでしまったような感覚になりました。

少女との出会いから始まる白蛇の変化が愛おしい物語。
真っすぐな少女と真っすぐな白蛇に心地よい距離感があり、読んでいてどこかほっとします。

日常にあふれる赤色と人間の潜在的に持つ残酷さと優しさと、いい加減さがあっけらかんと表現された短編集。
面白かったです。

蝶を吐く奇病を患う兄と、故郷から離れて暮らす弟の話。 濃厚な作品世界に圧倒されます。 読み進めていくうちに、主人公と故郷、主人公と家族、主人公と兄との屈折した思いが徐々に垣間見え…続きを読む

一つ一つの話が短く、さらさらと読めてしまうのでヤバイ。

怖いのになんだか癖になる、そんな短編集。

自殺志願の少女が支点になっているけれど、死を引き合いに出すことで生について書かれた作品のように感じた。死を望む罪よりも生を望む罪について。 宗教はよくわからないので違うのかもしれな…続きを読む

この物語は宇宙規模に大きく、それでいて極小に小さい。 この物語に登場するキャラクターたちは世の中を乱す凶悪的なことをしていて、その発想はどこまでも平和的な思想から生まれている。 …続きを読む

作者さんの気性がうかがえる優しいテイストの小さな物語です。

毒姫の願いが悲しいくらいに切実で、淡々とした文章と相まって胸に迫ります。

読後、思わずふふふと笑みがもれてしまう。
こんなおおらかな世界観、結構好きです。

生きている、とは本来どんな意味なのだろうか。そもそも、生きる死ぬに本来的な意味などあるのだろうか……？ ミヒャエル・エンデの『モモ』という作品の真逆を行く作品なのかな、と感じました…続きを読む

この物語の先を感じさせる短編。書かれていることより、書かれていないことに関して想像をかきたてられます。

人間か否か……それは最低限コミュニケーションがとれて、かつ行動に動機や理念があるかどうか、ということなのでしょうか……？ もしそう定義ができるとしたら……私は本当に人間といえるの…続きを読む

詩を拝読していても感じましたが、作品全体に漂うひっそりとした寂しさが魅力的です。

何かを思い出しそうな、それでいてなんだか見知らぬ風景を見ているような、妙に不安になる作品でした。

体を張って黒い穴を見せる筒を持ち、花火を打ち上げるりえりーの、その躍動的に飛び散る汗に感動しました。髪を振り乱し、「熱いヤバイよこれちょっ服これ燃え」などのセリフのルビに「女舐めん…続きを読む

短いながらも優しい雰囲気の漂うおはなし。

お客さんの中にも人以外のものがまじっていそう。 起こっていることは結構怖いのに、怖いという感情より不思議という感覚の方が強かったです。 ここの喫茶店の料理が食べてみたい、と思いま…続きを読む