人間判定

作者 髭鯨

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★★★ Excellent!!!

良く出来た作品。奥深いテーマを扱っているものの、最後の捻りが軽妙な作品に仕上げています。
理想の桃源郷に住まうと、作者が描いている通り、解脱したがる人間も続出するだろうな、と首肯してしまいます。あんな形態で…⁈ とは思うけど。それだけ作者の想像力は逞しいと言う事です。
また、ここまで進歩した世界なら、たとえ生身の人間であっても、判定儀式の際には思考を運営システムにアップロードする事も可能だろう。犯罪性向のある人間や独裁者になり得る人間を、どう料理するのか。作者の見解を読んでみたい。(まぁ、管理の行き届いた世界で独裁者は存在しないだろうけど、要は人非人に対する作者なりの評価を知りたかったな)
話は場外乱闘の域に逸れますが、老い先が短くなると、「人間として生まれたからには…」と頻繁に考えるようになりました。果たして、「人間だ」と胸を張れる人生を送ってきたものやら。

★★★ Excellent!!!

たまらなく面白い。「人間」の定義と、自らの「存在理由」が何なのか考えさせられます。
ユーリと共に読者も人間判定をしながら読み進めることになりますが、この小説はとても印象的に心に残ると思います。最初と最後がきれいに繋がって行く様も秀逸です。SFやディストピア、哲学好きはもちろん、ありとあらゆる人に読んでいただきたい傑作です。

★★★ Excellent!!!

話は基本的に主人公が対象を人間か人間でないかを判定することで進んでいきます。
もちろんそれだけで終わるわけはないですね……。
どこまでが人間か、だれが人間、どのように人間か、どちらが人間か、――何が人間か。
考えさせられましたし、よく考えてあるなと思いました。
すごい

★★★ Excellent!!!

優しい声に呼ばれて目を覚ました「僕」ことユーリは、
メトロポリス・アルファの管理者にタスクを課された。

管理者が紹介する住人が人間なのか人間ではないのか、
二者択一の判定をすること。それがユーリのタスクだ。

人間であることの要件とは、いったい何なのだろうか。
容姿か、言葉能力か。体の有無か、意思疏通の可否か。

いずれ似たような問いを突き付けられるかもしれない、
という、うっすらとした怖さを感じながら読み進める。

そして訪れる、どんでん返し。
彼は、人間と呼べるだろうか。

★★★ Excellent!!!

お見事、の一言です。徐々に狭められている人間とそれ以外の境界線。
最後に待つものは? いい意味で予想を裏切るそのラストに、思わず鳥肌が立ちました。未来が怖くなる……そんな一作です。
さらに「人とは何か」、この近い将来突きつけられるテーマを改めて考えされられる、その深さも個人的には大好きです。

★★★ Excellent!!!

人間か人間でないか、それを判定するだけの簡単なお仕事です。ですが人道的な理由と次第上がる難易度に、主人公は心が揺らいでいきます。驚きの結末からはパズルが完成したときのあの感動が味わえます。後引く面白さの素晴らしいSFだと思いました。

★★★ Excellent!!!

何を人間とするかという哲学的な問いを、物語に落とし込んだ作品。
主人公は超常の存在によって、対象が人間かどうかを判定する。
明らかに人間なもの、明らかに人間でないもの。しかしその判定は己の存在既定の根幹だ。
最後の審判の後に、主人公は人間になる。……人間になる?
どうやったら「人間でない存在」から「人間」になると言うのか。

★★★ Excellent!!!

とある人工知能に呼び出されて、ある人物について写真や会話などを基に、それが「人間」か「人間ではない」かを答えるという、一見簡単そうなストーリーに感じるかもしれない。
しかし、高度に発達した科学技術によって出てきた新たな生き方は、それを本当に人間と呼んでしまっていいのか分からなくさせる。

この主人公が作中で出す回答パターンは数あるうちの一つでしかない。
おそらく別の人物がこれに答えていたら、全く別の回答が生まれ、別の結末が訪れていただろう。
主人公が自分なら、一体どんな答えを出していただろう。

★★★ Excellent!!!

普段あまり意識することがない、「人間」をテーマにした作品です。純粋に生きることを楽しむ人もいれば、残りの生涯を穏やかに過ごすことを希望する人もいる……まさに「人生」の過ごし方や楽しみ方は色々あるのだと、この作品を通して考えました。

短編小説ながら内容がとても深い作品で、「人間」「人生」について楽しく学びながら読み進めることが出来ますよ。

★★★ Excellent!!!

人とは何か。その定義は?
単純ながら、そう簡単には答えられないこの命題に、少年ユーリが挑みます。

正統派のSFで、観念的なテーマを扱いながら、ヒネリの効いた展開はエンターテイメントとしても抜群です。
全六人の判定には、読者も必ず自分の答えを出そうと考えをめぐらせてしまうでしょう。
徐々に難易度が上がる質問が面白く、またヒヤリとした感触を与えてくれます。

ほぼ全編が会話で構成されており、1万4千字弱の短編ではあるものの、大胆な思考実験は読み応えも充分です。
ただの会話が不穏なサスペンスに変貌していく、その過程こそが、何よりの醍醐味でした。

さあ、皆さんも主人公と一緒に答えを探してみましょう!

★★★ Excellent!!!

人は一体、何を持ってして人を人と呼ぶのか。
メトロポリス・アルファの住民。彼らの「人間判定」に臨むユーリ。

読者の方は是非、ユーリと一緒に判定をして欲しい。
軽い心理テストをやるつもりでも、真剣に考え抜くつもりで読んでも、どちらでも構わない。
ただ、自分の下した判定だけ、覚えていて欲しい。

読む人によってある意味、結末が変わる画期的な作品。
たったの13000文字でここまで心が揺さ振られたのは初めてです。