ガラスのように透明で、自由な形の関係性。

精神的に自立した大人だからこその柔軟な関係性に惹かれました。

燃え上がるような恋ではないし、正気を失うほどの愛でもない。
情はあるけれど、それでも適度な距離感があり、最後までその距離は「リハビリ」の域から出ないよう調整されているように感じました。
それはたぶん、互いが互いに対し、人としての尊重があるからなのかな、と。

情はあるし一歩踏み出せばいくらでも、恋にも愛にも発展しそうだけれども、
それぞれ個人の生き方を考えれば、求めるものや目指す方向性が違うのだろうな、というのが読んでいて感じられ、
どれだけ柔軟に形を変えるガラスでも、無茶な力のかけ方をしたり歪すぎる形に成形すれば壊れてしまうのと同じで、このタイミングのこの二人はきっと、「期間限定のリハビリ」というワンクッションのある関係が丁度よかったのかな、なんて思いました。

不思議な、そしてとても満足感のある読後感です。

面白い作品をありがとうございました。

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