概要
架空の書房を中心にした
ものがたりを書いています。
ものがたりを書いているうちに、
思い出した本たち。
反対に、本棚を眺めているうちに
書きたくなった話。
そんなつたないものたちを、散りばめました。
* 玻璃(はり)とは ガラスのこと *
七宝の一つ * 水晶 * 非結晶質の物質
* きらきらのもの *
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!一人の少年の切ない気持ちを美しく描いた連作詩のような物語
文章が詩のように美しく感じられる作品です。
詩がつながって物語をつくりだしているのか、物語が詩のような美しい文章のつながりで語られているのか、どちらにしても心地よくきれいな文章が静かに流れていきます。
そこで語られるのはフウチという少年の切ない恋の物語。そして彼が過ごす美しい土地での出来事。彼が思いを寄せる柚子さん、そのダンナさんで兄のようなクウヘンさん、フウチに思いを寄せる粉雪さん。みんなが優しい登場人物で、フウチを暖かく包んでいます。それでもフウチにはあきらめきれない恋心があるわけで……
そして彼の過ごす日常世界の描写が物語に華を添えます。身の回りにあふれているようなもの、誰もが知ってい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!思いを、情景を描くために選び抜かれた言葉たちの力。——凄い。
心も身体もどんどん変わっていく、そんな微妙な時代の少年の心をきめ細やかに綴った物語。
この物語の舞台である森での日々は、あくまでも静かに淡々と紡がれます。
その情景は、作者という存在を介在しないかのように——まるで、何処かの森のある冬と、そこに住む人たちの日々をまるごと描き写したかのように…全てのもののひそやかな息遣いが聞こえてくるほどの、透明に澄んだ世界が広がっています。
創作された世界であることを感じさせない自然な空気と、その世界へ引き込む言葉達の力。気がつけば、自分もその情景の中に立っている——そんな感覚に驚かされます。
少年の心のふわふわとした不安定さ。揺れ動くその思いは、選び抜…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しい言葉で綴られる優しい時間
そこに優しい言葉がある
昔は葉っぱにメッセージを書いて、気持ちを伝えたんだって
そんな「言の葉」を集めたら『玻璃の音*書房』ができたんだ
・・・って、私はそう思う
透き通って手が届きそうなのに、届かない
柔らかそうに見えて、それは硬く研ぎ澄まされてる
暖かい春の光のようだけど、触れると氷みたいに冷たい
優しい色合いだけど、何も言ってはくれない
硝子は全てを透かしているようで実はそうでもない
まっすぐ出ていくこともあれば
曲がっていくこともあって
跳ね返ってもどってくることもある
人を見ているようで、自分を見てる
それを彼が理解できるのは
どれくらい先なのだろう