第2話 梶井#檸檬 そして柚子さん
玻璃の音*書房の本は、
奥の住まいにも柚子さんの本棚があって
そこには書房とまったく同じ本が まったく同じ配列で並んでいる
いわば 双子の書房 だ
ぼくには 柚子*書房の方から 内緒で本を貸してくれる
お金のないぼくの私図書館 だ
君はオトウトのようなものだから
柚子さんは好きな本しか置かない
内容もだけど 装丁が好みの本しか選ばない
*
ぼくは今日、「
柚子さんの一番のお気に入りの本だ
あの人が この本を読んでいたから 結婚したの
檸檬は短編集で、表題の「檸檬」だけじゃなく
「ある崖上の感情」を知っていたから
大正時代の西洋願望 ウィーンだけでなく
ベッドシーンという言葉が出てくる もうあの時代に
思いを馳せる 彼が生きた時代に
すきな本が同じということが とても大切だった
京都の丸善
本の山を作り 檸檬を乗せて 立ち去る男
それが 黄金色の爆弾であったなら
*今日の1冊 「檸檬」 梶井基次郎
大正から昭和初期の作家 31才の若さで夭折した
病いのためか、文章には憂鬱さや危うさ それゆえの鋭さがある
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