概要
想い焦がれる人がいても、目移りして すきを散らす。
残りの人生に きらいを書く時間は ない。
もう郷愁だけで 生きていくつもりだった。
でも 人生は予測不可能。 動き出す、今。
身体を使うか 使わないかは ともかく
幾らでも 心を飛ばせることを知った。
今日も 合図のように 言葉のかけらを込めよう。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!自由な旋律で奏でられる、ささやかな想い
それは、恋であったり、別れであったり。古い記憶でも、夢のようでもあります。
掌のなかにおさまるちいさな物たちだったり、遠く数百粁を超えて伝わる恋人の声であったりします。
真冬の凍みた青空であり、雨雲にかくれて見えない月でもあります。
詩のようであり、歌のようであり。未だ聴いたことのないリズムかと思えば、こちらの胸の奥に眠る感情を、ぎゅっとつかむものでもあります。
共通するのは、誰しも覚えのある(または、想像に難くない)身近でささやかな想い、でしょうか……。
丁寧に言葉を選んで語られる繊細なことどもが、とても愛おしく感じられる。そんな短編集です。 - ★★★ Excellent!!!切なくて、あるいはくすぐられるように愛おしくて、目が眩む。
一番好きなフレーズは、『月明かり雨』。
著者自身が雨なので、雨が降っては月の君に出逢えないが、お天気雨のように『月明かり雨』もあるのだと。
また、『恋るす惑星』のような、ロマンティックな言葉遊びも面白い。
一つ一つのフレーズが、いつしか置き忘れてきた少女や少年の心をハッと思い起こさせてくれるような、透明で綺麗な何かで出来ている。
かと思えば、その置き忘れてきた心のまま、強かに恋心を弄ぶ純粋な片想いが飛び出したりもする。
著者がよくなくしてしまうと語っている、気に入りのおもちゃの指輪のような、大切な言葉に溢れている。 - ★★★ Excellent!!!ちょっと宇宙まで、恋をしに行くの。すれ違うあなたへの書き置き。
この惑星を構成する元素の数を、種類を、私は知らない。
およそ70億超の人が住む地球という惑星で、平均80年ほどしかない一生の中で、私たちが知ることの出来るものはとても少ないし、出会うことの出来る人はもっと少ないだろう。
宇宙の果ては遠く、とても近い位置にいるはずの月でさえ38万km以上の距離がある。
時速270kmの新幹線に乗っても2ヶ月近い時間がかかる計算だ。
隣の惑星に至っては、金星が4200万kmで火星が7800万kmだという。
そんな遠い遠い場所に、彼女はちょっとそこまでと言うようにふらりと出かけてしまう。
だから留守にすると思う、なんてあっけらかんと笑う彼女は、まさに恋する惑星…続きを読む