自由な旋律で奏でられる、ささやかな想い

それは、恋であったり、別れであったり。古い記憶でも、夢のようでもあります。
掌のなかにおさまるちいさな物たちだったり、遠く数百粁を超えて伝わる恋人の声であったりします。
真冬の凍みた青空であり、雨雲にかくれて見えない月でもあります。
詩のようであり、歌のようであり。未だ聴いたことのないリズムかと思えば、こちらの胸の奥に眠る感情を、ぎゅっとつかむものでもあります。

共通するのは、誰しも覚えのある(または、想像に難くない)身近でささやかな想い、でしょうか……。

丁寧に言葉を選んで語られる繊細なことどもが、とても愛おしく感じられる。そんな短編集です。

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