心優しき「おじさま」と、双子の魔法少女たちの冒険譚。

三十歳を過ぎてもアルバイトで生計を立てていた今川信弘は、主体性がないと批判されつつも、ただ何となく日々を送っていた。勤め先を解雇された日、彼は書店で謎めいた人物から不思議な本を薦められた。『ポラニア旅行記』と書かれた文庫本を読み終えたとき、彼はこことは違う世界にいた――。

右も左も分からない異世界で、ノブヒロを助けてくれたのは、ルルという名の少女だった。魔力をもたない彼女は、代わりに魔法を使うための道具「魔籠」を作る才能に長けていた。ただし、この魔籠は誰にでも使えるものではなかった。

異世界では強大な魔力をもつと判明した「おじさま」=ノブヒロは、ルルとともにこの世界で暮らすことになる。が――

     ◇

ちょっと頼りないノブヒロさんが、双子の姉妹ルルとララと出会い、魔力を発揮します。そのシーンの迫力と、姉妹との掛け合いが楽しいお話です。優しいルルちゃんと外見はそっくりながら、強大な魔力を用いて魔獣を倒すララちゃんも可愛らしい。異世界から来た人間はノブヒロさんだけではなく、彼らとこの世界の人々の関係や、彼らをめぐる陰謀などもあり、目が離せません。
物語はいよいよ核心に迫ってきました。異世界冒険譚がお好きな方にお勧めです。

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