玻璃の音*書房

作者 水菜月

一人の少年の切ない気持ちを美しく描いた連作詩のような物語

  • ★★★ Excellent!!!

文章が詩のように美しく感じられる作品です。
詩がつながって物語をつくりだしているのか、物語が詩のような美しい文章のつながりで語られているのか、どちらにしても心地よくきれいな文章が静かに流れていきます。
そこで語られるのはフウチという少年の切ない恋の物語。そして彼が過ごす美しい土地での出来事。彼が思いを寄せる柚子さん、そのダンナさんで兄のようなクウヘンさん、フウチに思いを寄せる粉雪さん。みんなが優しい登場人物で、フウチを暖かく包んでいます。それでもフウチにはあきらめきれない恋心があるわけで……
そして彼の過ごす日常世界の描写が物語に華を添えます。身の回りにあふれているようなもの、誰もが知っている時間、そこに光が当たるとき魔法のように日常が輝きだします。この表現がまたすばらしいのです。
文章を追いかけることに幸せを感じる物語。
そう言う作品はなかなかありませんよ。

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