第5話 ぼくの名はフウチ
ぼくの名は、風知という
フウチ、と読む
ぼくは森の番人ではない
気ままに暮らし、旅をするスナフキンでもない
まいにち街の学校に通っている学生だ
帰り道にはいつも玻璃の音*書房 で
庭のコリスと遊び
クウヘンさんと音楽を聴き
ミルクがいっぱいの珈琲と 午後を共に
柚子さんの作ってくれる よるごはんを食べる
訳あって二人は ぼくの保護者のような存在
ここで一緒に住もうと言ってくれているけれど
ぼくには ぼくがいるべき家がある
歩いて50秒だしね
*
柚子さんが「ほら、おんなじなまえ」といって
1冊の小冊子を貸してくれた
ぼくのことを 物語を紡ぐ少年と 柚子さんは呼ぶ
でもここのところ、何も書けない
ぼくは今は この森に住んでいることがうれしくて
ただそれだけで何も考えられず
そういう日々もあってもいいのかなと思っている
でもいつか、旅に出る自分を知っているんだ
風が吹くと、誰かが呼ぶ声が 聴こえる
*今日の1冊 「fu-chi」
こちらは漢字で書くと風致
特集は 猪熊弦一郎の世界と CAFE*SHOZO
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